智弁学園・小畠投手の父に見えた親心「勝ちゃええんさ」

 1回、広島新庄・大可の放ったゴロにグラブを差し出す智弁学園・小畠(撮影・北村雅宏)
 力投する智弁学園・小畠(撮影・北村雅宏)
 広島新庄打線相手に力投する智弁学園・小畠(撮影・北村雅宏)
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 「選抜高校野球・2回戦、智弁学園5-2広島新庄」(27日、甲子園球場)

 智弁学園の勝利を振り返ると、小坂監督の采配がズバッと当たった印象です。野手では初戦の出場がなかった中陳君をセカンドのスタメンに大抜てき。大会前の雑誌を見ても掲載されておらず、急きょ背番号「17」の北村君に変わって大会直前のメンバー入りとなったみたいで。その中陳君が先制のホームも踏み、得点機会に全て絡む大活躍ですから。

 投手で言うと小畠君の先発です。智弁がこの先に勝っていくとしたら、キーマンは小畠君で、どこで投げるのかなと思っていたところで、小坂監督の期待に応える投球でした。

 小畠君は昨年の甲子園交流試合の中京大中京戦で、出番がなかったんです。その時は西村君が中京大中京の高橋君(現中日)と最後まで投げ合ったのを、ベンチやブルペンで見ていた立場で。最初は自分も投げたいと思っていたものの、途中から「自分は投げるところがないな」と切り替えて、西村君がベンチに帰ってくるたびにアイシングやマッサージをしていたそうです。

 そんな姿を見た智弁学園の井元部長が「小畠も成長したなあ」とおっしゃっていて。小坂監督もおそらく、小畠のいいところを甲子園で引き出してやりたいという思いもあったのかと。そういう中での好投でした。

 試合後、球場の外に出るとタイミング良く小畠君のお父さんとも会えました。今日の先発については、やはり親として緊張する部分があったみたいで。「自分の息子ということで見たら、あんなん見れません。誰か他の子やと思って見ないと」と。子を心配する親心、というやつですね。

 小畠君のことを聞くと、小学校の時はソフトボールしかしていなくて、野球を始めたのが中学生になってから。「智弁に入っている他の選手とは、野球歴が全然違うんです」ということで。だからこそ「あせらんとゆっくり成長してくれたらいいんです」と気持ちを込められていました。

 僕も最初に小畠君をキーマンと書きましたが、それはあくまで周囲の見方で。小畠君のお父さんは最後に「勝ちゃええんさ」と笑顔で一言。これ、3番を打ち主砲として期待されている前川君のお父さんの口癖なんです。

 今日で言うと前川君も打点を挙げて活躍したわけですが、親としては息子がどういう期待をかけられていても、何よりチームが勝ってくれたらいい、ということなんでしょう。そんな親心も込められた「勝ちゃええんさ」というわけです。

 監督や親の期待にも応えた孝行息子。智弁学園は16年以来の優勝を狙える位置にいるなと、改めて感じました。

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