ウィーラーに「大化の改新」を教えた名コーチ

 先日、J-SPORTSさんのお仕事で宮崎のオリックスキャンプに行って来た。吉田正尚に山岡泰輔、ドラフト1位ルーキーの田嶋大樹など気になる選手はたくさんいたが、ぼくが一番お会いしたかったのは選手ではなく今シーズンからオリックスのコーチに就任された米村理さんだ。

 楽天のコーチ時代は球場に行くといつも「板東さ~ん、ゆで卵食べてる?」と気さくに声をかけて頂き、僕の居場所を作ってくださる気遣いは本当にありがたかった。

 ある時なんかウィーラー選手を呼んだかと思えば、かみじょう君に凄いのん見せたろっ!

 「ウィーラー!6、4、5(年)」

 するとウィーラー選手が

 「タイカノカイシン!(大化の改新)」

 えっ。。

 凄いやろっ!

 教えたんやぁー。

 日本野球の成功の秘訣はまず日本を好きになってもらう事との考え。コミュニケーション能力が高く、指導法の引き出しも豊富な米村さんが高校野球の監督になったら、どんなチー厶を作るだろうか。非常に興味がある。

 「米村さんお久しぶりです!」

 「おー、板東さん!!卵食べてる?いやぁ、わざわざ宮崎まで嬉しいなぁ。せやけど、俺も久しぶりに関西帰ってきたし、一回メシ行こうな!よし、野田辺り攻めよかぁ。野田。ええ店あるでぇ。まぁ楽天ファンちゅうのんはわかっとるけど、ファームはオリックスもちょっと応援たのむわなぁ!」

 「はい、是非お願いいたします!」

 「後、ウィーラーに頑張れよぉて言うといてやぁ」

 米村節に圧倒され、結局高校野球の話は聞けなかった。

 そんな米村さんの母校、郡山高校で非常に印象に残っている試合がある。97年センバツ1回戦の函館大有斗戦だ。

 2点リードの9回裏、1点を返されるも2死満塁からショートゴロ。これで郡山の勝利だと思った瞬間、ショート村田選手の股間を無情にも打球がすり抜け2者が生還。函館大有斗の逆転サヨナラ勝ちとなってしまった。

 崩れ落ちる2年生レギュラー村田選手に上級生が駆け寄るシーンは印象深い。

 そして郡山は翌年の98年、2年連続でセンバツに出場し1回戦で北照高校と対戦、またもや北海道勢という巡り合わせも凄いが、3-2と1点リードで9回2死から打球がショートに飛ぶという因縁。まるで1年前のデジャヴのようなシーンは村田選手がしっかり処理し勝利を納めた。

 リベンジと成長を甲子園に見せつけた瞬間だった。

 きっと村田選手は想像もできないほどの努力と血の滲むような日々を過ごしてきたのだろうが、監督やコーチの指導が彼という人間を知り、彼だからこその指導があったからこそ翌年のリベンジが達成されたのだと思う。

 それを考えると失敗や負けから学び、立ち上がってくる学校、選手の成長を目撃出来るのも甲子園の魅力のひとつだろう。

 もし米村さんが監督ならどんな言葉をかけ、どんな指導で選手を立ち上がらせるのだろう。

 今度、野田の居酒屋で聞いてみようと思う。

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