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中谷仁コーチの加入で智弁和歌山が再生

 智弁和歌山・中谷仁コーチ(左)=2017年7月29日
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 「どないしたんや。。」

 アルプススタンドで一緒に観戦していたOBの方が思わず呟いた。

 2015年夏の甲子園初戦の津商業戦。智弁和歌山は初回に先制したものの、試合中盤から信じられないエラーが続き、結局7失策で逆転負けしてしまった。

 「これ先生の最後の試合にしたらあかんやろ」

 OBの言葉に風の噂で耳にしていた高嶋監督勇退説がまんざらではないと知った。

 結局辞める事はなかったが、あの敗戦から3季連続甲子園を逃し、あの強い智弁和歌山はどこにいったとまで言われはじめていた。

 そんなチームに昨年の1月、救世主が現れる。97年の選手権で智弁和歌山の主将としてチームを全国制覇に導き、プロ野球選手として阪神、楽天、巨人と3球団で活躍された中谷仁さんがコーチに就任したのだ。

 数年前からプライベートでも何度かご一緒させてもらった事があるが、頭の回転が速くて喋りが上手いので年齢関係なく誰とでも仲良くなれる才能は凄いなぁと感じていた。

 2年前だったか、元巨人の石毛博史さんの車で僕と中谷さんの三人で鳥取から大阪まで移動した事があるのだが、中谷さんが初対面の僕と石毛さんが話やすいように色んな話題を振ってくださり車内はおおいに盛り上がった。

 かと思えばその数日後、喫茶店で「かみじょうさん!」。そこには19歳の学生2人とワイワイ盛り上がっている中谷さんがいた。聞くと最近通い始めた専門学校の同級生らしく、一緒に試験勉強をしていたのだ。20歳近く年下の学生さんとの弾む会話に、あらためてこの人のコミュニケーション能力に脱帽した。

 コーチ就任前から高嶋監督と生徒のつなぎ役が必要だとおっしゃられていたが、よくよく考えてみればこの方以上の適任者はいない。

 結果はすぐに出た。夏の選手権大会では2011年以来六年ぶりに白星をあげる事ができ、大阪桐蔭に1-2で敗れたもののセンバツ王者を最後まで苦しめた。そして秋の近畿大会では強豪の履正社を倒し準優勝、センバツ出場も確実としている。最近、試合前に部員の肩を抱き、耳元で何かアドバイスを送っているのをよく目にするが、その度にあの日の喫茶店を思い出す。

 そして智弁和歌山事情に詳しい知り合いから聞いた話では、中谷コーチの加入により高嶋監督にも変化が現れてきてるという。

 今までは長嶋茂雄さんではないが感覚値で教えることがほとんどだったが、先日エンドランの練習を観ていると、うまくいかない選手を呼び、自らがトスバッティングでボールを投げ、手取り足取り指導、そしてその選手が上手くいくと褒めていたらしく、一昔前からは考えられない事だという。

 生きのいい1年生の黒川、西川やチームの主砲である文元、冨田に加えセンバツにはプロ注目のスラッガー林も帰ってくる。

 あの日の津商業との試合を、悔しそうにアルプススタンドから見つめていた男がチームを再生させたのだ。強い智弁和歌山を待ち望んでいる高校野球ファンは多い。2018年はそんなファンの期待に応える年になりそうだ。

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