山下智茂氏×報徳学園“新旧監督”対談【1】伝統を引き継ぐ者と受け継ぐ者

 星稜総監督の山下智茂氏(72)が全国の指導者を巡り次世代の高校野球を考える企画。今年のセンバツを最後に勇退した報徳学園の永田裕治前監督(53)と、教え子で部長から新監督に就任した大角健二監督(36)を山下氏が訪ねた。伝統を引き継ぐ者と受け継ぐ者。2人の指導者の思いを5回にわたってお届けする。

  ◇  ◇

 山下智茂氏(以下、山下)「監督勇退を発表したのはセンバツ選考会翌日の1月28日だったね。永田さんから電話があって、びっくりした。あとは大角に任せるって」

 大角健二監督(以下、大角)「僕は1月18日にここ(学校の監督室)で2人で話しました。(勇退の)タイミングを計られていたって。話を聞いた時は泣きました。もともと(部長と監督という)同じ目線の感覚はないんですけど、その時はさらに昔に帰った。何て言ったらいいかわからないけど、監督がやめるんだと、生徒の気持ちに戻りました」

 -練習で心がけていることは。

 大角「時間の削減と気持ちを高める単純なこと。誰もができることを全力でやろうということから始まりました。アップでしっかり腕回したり足を上げたりして。こういう環境なので時間を削減できるようにと思っています」

 -大角監督を指導者へと導いたのは永田前監督。

 大角「(永田前監督と二人三脚で部長を務めていた)竹村(洋一)先生が(在職中の2002年に病気で)亡くなって、そのお葬式の時に永田先生から話があると言われました。大学4年秋のリーグ戦後です」

 -高校、大学で主将を務めた大角監督を後継者に考えた。

 永田裕治前監督「あの頃までうちの現場は(指導者が)一人だったんです。正式採用のコーチがいなくて(野球経験のない)竹村先生は硬式テニスのラケットでノックを打つような人(笑)。公式戦では(臨時で来る)ノッカーのため、僕はいつもユニホームを2着持って行っていました。そんな中で、誰か後継者をつくらないといけないと考えた。(大角監督の資質は)学生時代を見ていました。(竹村部長は)夏も一緒に甲子園のベンチに入っていたんですけど、その後ちょっと体調が悪いと行って入院してくるって行かれて、たった1カ月でした」

 山下「部長先生のお葬式でそれを言ったなんて、よほど期待していたんだね」【2】へ続く

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