つかみ取る！広島のドラフト２位・斉藤汰直（たいち）投手（２１）＝亜大＝が１２日、都内のホテルで入団交渉に臨み、契約金７０００万円、年俸１２００万円で仮契約を結んだ。「将来はカープのエースになりたい」と意気込み、プロでの第一目標に開幕ローテ入りを設定。来季から栗林らも参戦する先発争いを勝ち抜くことを決意した。（金額は推定）

　金びょうぶの前に立った斉藤は終始引き締まった表情だった。一世一代の大きな契約を交わした後でも「準備はすでにしているので、そういった意味では今日改めて実感が湧いたとかはないです」とキッパリ。すでに視線は１年目にどう活躍していくかというところに向いていた。

　色紙には「開幕ローテ」と記した。数ある目標の中で、開幕に照準を合わせたのは即戦力としてやっていく覚悟があるから。「何を書くか迷ったんですけど、自分自身、先発でやっていきたいという思いがあるので、まずはそこかなと。目標は高めじゃないですけど、そこは有言実行したいなと思います」と落ち着き払った口ぶりで語った。

　開幕ローテ入りを実現すれば、球団の新人投手では２０２０年の森下以来６年ぶりとなる。今季の先発陣は森下、床田、大瀬良、森、玉村が中心となったが、２桁勝利到達者はいなかった。若手の高、佐藤柳、常広らもアピールを期している。さらに栗林、岡本、辻も来季からの先発挑戦を見据えて調整しており、開幕ローテ６枠の争いは厳しくなることが想定される。

　斉藤自身も「そう簡単に開幕ローテーションをつかめるとか絶対ないと思う」と自覚する。その上で「勝負の世界なので、そこは１年目だろうが関係ない。結果をしっかり出したいなと思います」と力を込めた。

　交渉の席では球団から「『１年目から２ケタ勝ってほしい』とは何回も言われた」という。右腕を担当する松本スカウトからは「今の投手陣と比べても負けてない。本当にフォークが面白いくらい落ちて、面白いくらい空振りが取れる。大瀬良が入団した時くらいの投球はしてくれるんじゃないか」と最大級の期待をかけられた。

　「２桁勝ったら、相当チームの戦力になっていると思うので、そこに向けて頑張りたい」と斉藤も気合十分だ。大学での公式戦は全て終わっているが、現在も来年１月からのプロ生活に向けてウエートトレーニングを中心に練習を継続中。「基準はトップレベルに合わせないといけないので。現状維持では無理です」。そう語る姿からはエースにのし上がる強い野心と危機感がにじんだ。

　【斉藤汰直アラカルト】

　◆斉藤　汰直（さいとう・たいち）

　◆生年月日　２００３年１２月７日生まれの２１歳。兵庫県出身

　◆サイズ　１８３センチ、９０キロ

　◆投打　右投げ右打ち

　◆球歴　小浜小１年時にポルテで野球を始め、川西タイガースに所属。宝塚中では軟式野球部でプレー。武庫荘総合を経て亜大では１年春からベンチ入りし、東都リーグ通算８勝。今夏の日米大学野球で大学侍ジャパンメンバー入り

　◆球種　ツーシーム、フォーク、カットボール、カーブ。直球の最速は１５２キロ

　◆遠投　１１０メートル

　◆趣味　ゆっくり寝ること。サウナ

　◆よく聴く歌手　ＯＮＥ　ＯＫ　ＲＯＣＫ、ちゃんみな、ＧＲｅ４Ｎ　ＢＯＹＺ