広島・森下64日ぶり勝った!自身の連敗も8でストップ 6回2失点6勝目「久しぶりにうれしいな」 チームは4位再々浮上
「広島5-3ヤクルト」(16日、マツダスタジアム)
長~~いトンネルを抜けた!!広島の森下暢仁投手(27)が6回7安打2失点の力投を見せ、6月13日以来の白星となる6勝目を挙げた。ここまで両リーグワーストの13敗を喫していた右腕だが、自身の連敗を8でストップし、久々に笑顔が弾けた。チームも連敗を2で止め、4位に再々浮上。今季の開幕投手がシーズン終盤での逆襲へ大きな一歩を踏み出した。
森下はマウンドではなく、ベンチ最前列でほえた。降板直後の六回裏の攻撃でモンテロが値千金の勝ち越し決勝ソロ。打球がスタンドに届くと両手を上げて万歳し、助っ人とタッチを交わすと大きな声を出した。「久しぶりにうれしいなと思いました」。力投した末に舞い込んできた6勝目。勝った事実を素直に喜んだ。
完璧に近い投球をしても報われない日もあれば、満足な投球ができなくても勝てる日もある。この日は森下自身からすると、納得がいっていないようだった。「まあもう、いつも通りだなって感じでした」。初回は無失点で立ち上がるも、二回は2死満塁のピンチを招いた。無失点で切り抜けたが、1-0の三回に小園の失策も絡み、村上の中犠飛と山田の中前適時打で2点を失った。
6月20日・楽天戦からの8連敗中の援護は1試合平均0・63点とわずかなものだったが、先制点を与えたり、序盤から中盤で逆転を許す試合が多かったのも事実だった。この日も三回に一時逆転を許した。「次はもう少しいい形で投げられたら」。勝利後にもかかわらず口数が少なかったのは、改善の余地を感じているからだろう。
6月13日・日本ハム戦(エスコン)で完投勝利を挙げてから64日ぶりの白星。勝てない間も登板間の調整は変えずに不動のスタイルを貫いた。ただ、精神的には揺れ動くものがあった。
前半戦終了後、末包らと食事に出かけた際には「何のために野球をやっているんですかね」と漏らしたこともあった。当時、負けが込んでいたチーム状況に「負けているからこういう状況になっているんじゃなくて、なるべくしてなっているんじゃないか」。今年は開幕投手も託され、チーム全体を背負う身として、そんな自問自答を繰り返す時期もあった。
苦しんだ先に待っていた光。新井監督も「本人も苦しかったと思うし、みんな『何とか勝ちを』と思っていたと思う。あの(モンテロの)ホームランが出た時、ベンチもすごい盛り上がったし、森下のうれしそうな表情が印象的でした」と目尻を下げた。
ただ、森下から充実感はまだ漂ってこない。「次は多く(イニングを)投げられたら」。返さなければいけない借りがたくさんある。勝利後の歓声が漏れ聞こえるベンチ裏で、右腕はすでに先を見ていた。





