広島 島内を〝八回の男〟に変えた言葉「ど真ん中」 直球生かしつつ四球大幅減 コーチ「聞く耳を持っていた」

 広島はシーズン前の低評価を覆す戦いぶりで、前半戦を終えて2位と躍進した。そこには新井監督就任によって成長を遂げた選手たちの存在があった。番記者が聞いた、彼らを変えた“魔法の言葉”を2回にわたって紹介。今回は投手編として“八回の男”島内颯太郎投手(26)を変えた言葉を取り上げる。(データはJapan Baseball Data)

  ◇  ◇

 2位ターンを決めた新井カープ。投手陣では守護神・栗林が不調の中、代わりを務めた矢崎、そしてセットアッパーに成長した島内の存在が大きかった。

 プロ5年目の今季は33試合に登板し、1勝2敗2セーブ、20ホールドとすでにキャリアハイを更新する活躍。

 飛躍の大きな要因となったのが、制球力の良化だ。150キロを軽々と超える直球が最大の武器。一方で昨季まで通算134回1/3で72四球という四球の多さが弱点だった。それが今季は30回1/3でわずか7四球と大幅に改善された。

 きっかけは昨秋キャンプにあった。一昨年はリリーフとして51試合に登板したが、昨季は制球難に苦しみ22試合にとどまった。どうすれば再び輝くことができるのか、思い悩んでいるときだった。横山、菊地原両投手コーチから「(捕手に)コースに構えるよりは、ど真ん中に構えてもらったらどうか」と助言をもらった。

 「そこが最初ですね。どっちにしろ狙ったところにいかない。真ん中を狙ってもうまく散らばるだろうし。コントロールで勝負するよりもボールの勢いとか緩急で勝負するタイプなので」

 どんな場面で登板しても、ど真ん中を狙って腕を強く振ることを心がけた。結果、今季の直球はMAX157キロ、平均153キロと昨季のMAX155キロ、平均150キロよりも球速が増した。それだけでなく、投球全体のストライク率は60・8→67・5%。直球は62・5%→65・1%、チェンジアップは58・8→72・5%と、いずれも数値が上がった。

 横山コーチは「あの球威を生かすためには、を考えた。プロですからプライドもある。過去には真ん中に構えてもらえと言っても拒否した選手もいる。聞く耳を持っていたから変われたのだと思います」と説明した。

 島内は言う。

 「今、伸び伸び投げられているのは“コースを狙わなくていい”とコーチの方に言われたから。投げやすさが変わった。ありがたいアドバイスだったと思っています」

 同じ言葉でも言うタイミング、聞く側の心持ち次第で効果は大きく違う。“魔法の言葉”が島内を“八回の男”へと成長させた。

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