カープ森下 330日ぶり完封で3位死守 龍馬離脱の危機救い指揮官賛辞「よく頑張って投げた」
「巨人0-2広島」(12日、東京ドーム)
やはりこの男は頼りになる!広島・森下暢仁投手(25)が今季初完封で5勝目を挙げた。完封勝利は昨年8月16日・中日戦以来330日ぶり。西川が出場選手登録を抹消され、菊池もベンチスタートとなった一戦。負ければ4位転落という“W危機”を力投で救った。チームも2018年以来5年ぶりに、貯金生活での前半戦折り返しが決まった。
勝利の瞬間に訪れる歓喜を、マウンドで味わえた。森下は会心の笑みを浮かべながら仲間とハイタッチを交わす。チームが苦しい状況だからこそ、余計に際立った存在感。赤く染まった左翼スタンドからの大歓声が鳴りやまない。9回109球で330日ぶりの完封勝利。「チームが勝つことが一番。何とか勝てて良かったです」と5勝目をかみしめた。
序盤から走者を背負うも簡単に崩れない。初回1死二、三塁で岡本和を151キロで空振り三振。大城卓も直球で左飛に仕留めた。二回無死一塁では吉川を遊ゴロ併殺、三回も1死満塁で岡本和を外角直球で二ゴロ併殺。「本当に(野手に)守ってもらいました」。ピンチを脱するたび、黒く染まった敵地からため息が漏れた。
七回も無死一塁から味方の好守もあって中田翔を遊ゴロ併殺。8安打を浴びながら、先頭打者を4度出塁させながらも得点は与えなかった。「ゲッツーが一番。あれでテンポ良く、球数も少なくいけたので、それが良かった」。ナインに感謝しながら汗を拭った。
負けられない理由があった。試合前には西川が出場選手登録を抹消され、菊池もベンチスタート。レギュラー2人を欠く窮地に立たされた中、マウンドで堂々と腕を振った。
自身が先発した5月27日・ヤクルト戦では西川が決勝適時打を放って勝ち星が舞い込んだ。ベンチでも言葉を交わす、親しい間柄。「しっかり治してもらって。本当にチームがカバーしないといけない。今出ている人がやるしかない」。強まるのは中心選手としての自覚。大きな穴を全員で埋める、その一助に自分もなるという気概が心強い。
主力の離脱、負ければ4位転落という危機を救ったヒーローに新井監督も「要所を締めながら、よく頑張って投げたと思います」と賛辞を贈った。
森下にとっては今季ビジターで初勝利。開幕は出遅れたものの、五つの白星を積み上げて前半戦を締めた。「投げる試合を勝ちたいと思ってやっている。ビジターで勝ててなかったけど、きょう勝てた。そこは本当に大きいと思う」。スポットライトがよく似合う背番号18が、上位追走への主役になる。