新井貴浩氏【広島V逸分析】床田離脱の「-1」が及ぼした負担 CS進出なら希望も

 広島は残り3試合の結果次第で3位の可能性を残しているが、4年連続のV逸、そして3年連続の負け越しというシーズンになった。カープOBでデイリースポーツ評論家・新井貴浩氏(45)は今季について、先発陣が計算通りの形とならなかったことを分析するとともに、投手、野手ともに来季に楽しみが持てる成長分も指摘。その成長分を加速させるためにも、CS出場に期待を寄せた。

  ◇  ◇

 今シーズンで、最大の誤算と言えばやはり、勝負どころを前にした8月初旬に、そこまで常に安定した結果を残していた床田が故障離脱したことだろう。これは単なる「マイナス1」ではない。別の1人が穴埋めできるものでもなく、当然、先発陣全体でカバーする必要があった。

 そうした負担が直撃する形となったのが、大瀬良ではないだろうか。

 と言うのも大瀬良は、昨年あたりも同様の傾向が見えたが、今季もシーズン序盤から投球数がかさんでいた。開幕から6試合、3、4月で4勝1敗と好成績を残した。一方で、4月1日の中日戦で8回125球、22日のDeNA戦は九回途中135球など、その6試合で投げた球数を9イニングに換算すれば140球を超える投球となっていた。

 理由としては、直球のキレなど、本来の状態ではなかった面があると感じた。大瀬良は自身の状態を感じ取る能力にたけており、また1球の怖さというものも熟知している。そのせめぎ合いの中で試合を作っていくため、甘い球を避ける、間が延びる、結果、球数が増えるという投球が続いたのだろう。

 そしてもう一点。佐々岡監督は、私も現役時代に目の当たりにしたがスーパーマンと言いたくなるほど野球センスに恵まれ、馬力もあった。先発も抑えもこなしたし、先発すれば完投は当たり前、くらいの投手だった。それを知る大瀬良は、当然、佐々岡監督の期待を感じつつ、それに応えようという責任感を伴ってのマウンドとなる。思うような状態でなくとも、1イニング、打者1人でも多く投げようという姿勢を貫いた。

 これらが複合的に、シーズン前半での大瀬良の消耗に結びつき、そして床田の離脱によってその消耗が加速することになったのではないか。夏場以降の、大瀬良のボールを見ていてそう感じた。

 やはり計算できる先発陣から複数の不調や離脱が出ると、白星を重ねることは難しい。ましてや、コロナ禍で主力が離脱する時期もあり、佐々岡監督は非常に苦しい采配を強いられる試合が多かっただろう。

 ただ一方で、矢崎や松本らが貴重な経験を重ね、確かな成長を見せられた若手投手も出てきた。また野手でも菊池涼、小園の離脱中に矢野、羽月、韮沢らが力を付けているところをアピールした。

 さらには開幕ダッシュの立役者となった上本や、野間、堂林といった中堅選手の奮闘は、何度となくカープファンの心を熱くしてくれた。これらは今季の収穫であり、来シーズンへの大きな希望ともなる。

 だからこそ、残り3試合。何としてもクライマックスシリーズに進出してもらいたい。未経験の若手が飛躍のヒントを得られる舞台だ。最後まで諦めない戦いを挑んで欲しい。

 ◆広島のCS決定は10月2日 広島が残り3戦のうち1勝し、阪神が残り3試合を1勝2敗、さらに巨人が10月1、2日・DeNA戦を2戦2敗ならCS決定。

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