カープ九里 劇的勝利を呼んだ134球 再調整の大瀬良から「頼んだ」に応え9回0封
「広島1-0中日」(17日、マツダスタジアム)
雨粒が体をぬらしても、広島・九里亜蓮投手(30)は集中力を切らさなかった。0-0の九回1死一塁。木下にファウルで粘られたが、12球目のスライダーで空振り三振に斬った。一走・ビシエドの二盗失敗で“三振ゲッツー”。その瞬間、こん身のガッツポーズで喜びを爆発させた。
三塁を踏ませず、今季最長の9回を投げ4安打無失点。「何とか先に点を与えないように必死に投げました」と汗を拭った。
初回2死一、二塁は木下を中飛。四回は1死から連打で一、二塁のピンチを迎えたが、レビーラを外角スライダーで空振り三振、続く土田を右飛に打ち取って無失点で切り抜けた。全球種を低めに集めて両サイドを幅広く駆使する、らしさにあふれた投球。相手右腕・高橋宏と緊迫した投げ合いを演じた。
球数は今季最多134球。チームは前日からコロナ禍に見舞われ、13日には大瀬良が再調整のため戦列を離れた。大瀬良からは「頼んだ」と連絡を受けた。「(チームを)引っ張っていきたいという気持ちもある」。使命感を強めて挑んだマウンドで、チームにとって今季初の2試合連続完封勝利に貢献した。
「野手も盛り立ててくれたので、強気の投球を貫こうと思った結果、いい投球につながった」。残りの登板に思いを凝縮させ、九里は投げ続ける。