広島 交流戦前コロナ禍の苦しみも 若手台頭、生まれ変わりの1年に

 担当記者が自軍の今季を総括する企画「21年あの瞬間」第3回。広島は3年連続Bクラスとなる4位で終えた。5月に菊池涼や鈴木誠、九里ら複数の選手が新型コロナウイルスの陽性判定を受け離脱したことが順位に大きく影響した。主力の不調や負傷もあり、投打とも若手が台頭した今季。チームにとっては、新たな時代への転換期となったシーズンでもあった。

  ◇  ◇

 巨人との2連戦(東京ド)を控えた5月17日だった。投手指名練習が予定されていたこの日、普段とは違う光景がマツダスタジアムにあった。

 午前からの練習は予定時間から約30分遅れて開始。午後は防護服を着た清掃員が一塁側ベンチを消毒した。そして、午後11時過ぎ。球団から菊池涼、小園、正随の新型コロナウイルス陽性が発表された。

 その後、チームはコロナ禍に見舞われた。9選手と2人のコーチが陽性判定を受け、2選手が濃厚接触者に。5試合が延期された。

 この間、連日PCR検査が実施された。佐々岡監督は夜遅くまで球団事務所で幹部と対応を協議。ある選手は当時を「本当に大変で、不安もあった」と振り返る。選手は分割された限られた時間で個別練習をするしかなく、精神的にも肉体的にも難しい時期を過ごすことになった。

 主力を欠いたまま突入した苦手の交流戦は3勝12敗3分け。借金は9で、最下位に終わった。先発陣は18試合連続で未勝利。交流戦で先発投手が白星を挙げられなかったのは史上初だった。

 佐々岡監督は当時、「本当に色んなことが起きた」と振り返っている。シーズン終盤は巻き返して3位の可能性が見えただけに、大事な時期の混乱が結果的には痛かった。

 チームは過渡期を迎え、世代交代が進んだシーズンでもあった。16~18年の3連覇を経験した選手は、年齢的にも毎試合でベストな状態を保つのが難しくなってきた。

 捕手の坂倉は一塁手としても出場し、リーグ2位の打率・315と飛躍。小園は遊撃を、林は三塁を守り続けた。投手では栗林が守護神としての地位を確立し、先発では玉村、中継ぎでは島内、森浦らが台頭した。いずれの選手も結果を残し続けて定位置を勝ち取ったことに意味がある。

 田中広の不調や会沢、松山の故障離脱があった。新型コロナウイルス以外のアクシデントもあったシーズン。チームが生まれ変わるための1年になった。(広島担当・市尻達拡)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス