総四死球リーグワースト 課題山積みの広島バッテリーに安仁屋氏が提言

 今季のペナントレース全日程が終了した。広島は最終盤になって猛烈な巻き返しを見せたが、63勝68敗12分けで3年連続Bクラスとなる4位に終わった。デイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏(77)が、今季の戦いを通してバッテリーについて感じたことを語った。

 ◇ ◇

 九里が13勝を挙げて初の最多勝を手にした。大瀬良も4月に故障で約1カ月間離脱しながら2年ぶりの2ケタ10勝に到達したことも見事だった。抑えでは新人の栗林が大車輪の活躍。彼がいなかったら投手陣は大変なことになっていただろう。栗林につなぐまでの救援陣もケムナ、島内、森浦、コルニエルらが経験を積み、終盤戦になって安定感が出てきたのも明るい材料だったといえる。

 一方で来季への大きな宿題として残ったのは四死球の多さだ。今季、カープ投手陣が与えた総四死球はリーグワーストの509個(故意四球除く)。もちろん投手陣の力不足が一番だが、捕手陣にも問題がある。中でも気になったのがミットの構え方だ。外角球を要求する時、どの捕手もホームベースからほんのわずか、ボール1個分ほど外れたところにミットを構えており、投手が構えたところにしっかりと投げているのにボールと判定されるケースが多々見られた。投手の立場から言わせてもらえば、やはりミットはベースの内側ギリギリのところで構えてほしい。

 森下が後半戦でなかなか勝てなかったことについても気になったことがあった。会沢とバッテリーを組んだ時にとても投げにくそうにしていた。会沢のサインに遠慮して自分の思った球を投げられなかったのではないか。その証拠に同期の石原と組むようになってからは首を振るようになり、勝ち星もついてきた。投手はどんな時も自分の投げたいと思う球を投げた方が良い。キャリアや年齢は関係ない。自分の考えとは違うサインが出た時はどんどん首を振ればいいと思う。結果的に打たれたとしても、そっちの方が納得がいく。

 ただ、そのためにも欠かせないのが普段からのコミュニケーションだ。捕手陣と意見を交わしてお互いの理解を深める努力をしてほしい。私が現役の頃は先輩捕手のサインと違う球を投げるなんてもってのほか。首を振ろうものなら、あとで殴られた。しかし、今はそんな時代じゃない。カープの捕手陣はみんな優しいし、相手の話もちゃんと聞いてくれる。だから投手陣も遠慮せずに自分の思いを伝えたらいい。

 それと、これもバッテリー間の話になってくるが、2ストライクと追い込んだ後の3球勝負をもっとやってほしかった。ただ、3球勝負といってもストライクゾーンで勝負するのではなく、フォークやスライダー、カーブでもいいからボール球をうまく使ってバットを振らせることが大切だ。簡単にウエストしてボールにすることほどムダなものはない。無条件で相手に1ボールを与えることになるし、そこから粘られてカウントを悪くして結果的に打たれたり、四球を出すケースも目についた。しかし、ボール球での3球勝負は振ってくれれば儲けものだし、あくまでも攻めの投球なので見逃されてもまだ心理的にも投手に余裕がある。

 捕手の起用法についても触れておきたい。今季は投手に合わせて主に会沢、坂倉、石原の3人が先発で起用されたが、投手側から見れば、決して望ましいことではない。もちろん相性の良し悪しがあるのは分かるが、そんなことを続けていると、その捕手としか組めなくなってしまう。捕手のところに代打が送られたり、あるいは今季の会沢のようにケガなどで長期離脱した時は、いったいどうするつもりなのだろう。2年前のK・ジョンソンがいい例だ。石原(慶幸)と組めなくなった途端、まったく勝てなくなってしまった。

 そうならないためにも、日頃からバッテリー間でコミュニケーションを図り、投手はどの捕手と組んでも、しっかりと自分の投球ができるようになってほしい。その上で理想を言えば、捕手は日替わりでマスクをかぶるのではなく、一人に固定した方が良い。昔から強いチームは正妻がどっしりと扇の要に座っている。「野球は投手」という人もいるが私は捕手がメインだと思う。捕手次第でどんな投手でも変わることができる。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス