古巣広島へ誓う「恩返し」MSH医療専門学校の永田利則監督 教え子をカープに

 広島市のMSH医療専門学校野球部が「全日本クラブ野球選手権」(5月29~31日・岐阜)に出場する。チームを指揮するのは、26年間コーチを務めた広島カープを19年限りで退団し、今年が就任2年目となる永田利則監督(59)だ。

 MSH医療専門学校は中国1次予選を3位通過。1枚の切符を争った中・四国2次予選も勝ち抜き、2大会ぶり3度目の出場を決めた。全国舞台での初采配を前に指揮官は「みんなで力を合わせて1つでも多く勝ち進みたい」と意気込む。

 元監督で現在は呉港高の監督を務める片岡新之介氏(73)から誘いを受けて昨年1月に監督に就任した。総合コーチには「選手の頃から可愛がってもらい、最も尊敬している先輩」というカープOBの長内孝氏(63)に依頼し、“参謀役”として加入してもらった。

 就任以来、選手には「基本の徹底」を求めてきた。「打ったら全力で走る。球をはじいても(アウトを取ることを)あきらめない。大きな声を出してプレーする。こういうことはプロであろうとアマチュアであろうと変わらない。当たり前のことを当たり前にすることを伝えてきた」

 柔道整復師の資格取得を目指す専門学校のため、選手の在籍期間は3年間と限られている。午前中は授業があり、練習は午後からの約3時間と制約も多い中、着実にチーム力は底上げされてきた。杉山淳主将(3年)は「永田監督と長内コーチが来られてチームに活気が出てきた。試合中も細かい指示やアドバイスをしてくれるので勉強になる。成長を感じます」と感謝する。

 部員は45人。社会人野球やプロ入りを目標にする選手も多い。「上を目指す選手には少しでも高いレベルでできるように手助けしていきたい」と語る永田監督には常に胸に秘めている思いがある。監督就任の際にはカープの松田元オーナーの後押しがあった。就任が決まり、あいさつに行った時に「カープの戦力になるような選手を育ててくれよ」と激励された。その言葉が今も耳から離れない。

 「高校を卒業してカープに入団し、引退後も長い間、コーチとしていろいろな勉強をさせてもらった。カープのおかげで今の自分がある。カープで学んだことを生かして、1年でも早くカープのユニホームを着られるような選手を育てたい。それが松田オーナーとカープへの恩返しになると思う」

 カープ時代から厳しい指導には定評があったが、選手を見つめる視線は温かい。愛情を持って選手に接し、情熱を持ってチームの強化を図る永田監督。新天地での挑戦はまだ始まったばかりだ。

(デイリースポーツ・工藤直樹)

 ◆永田利則(ながた・としのり)1961年10月9日生まれ。広島市出身。現役時代は右投げ両打ちの内野手。171センチ、70キロ。広島商では1年夏と3年夏に甲子園に出場。79年度ドラフト2位で広島入団。87年途中に南海に移籍し、90年に引退。11年間の通算成績は46試合出場、打率・197、0本塁打、5打点。引退後は広島に復帰し、91年から3年間スコアラーを務めた後、94年から2軍守備走塁、2軍野手総合、1軍守備走塁、1軍総合など26年間にわたってコーチを務め、19年限りで退団。20年にMSH医療専門学校の監督に就任した。

 ◆MSH医療専門学校 広島市にある柔道整復師の国家資格取得などを目指す専門学校。柔道整復師・スポーツトレーナー学科と保育士などの資格取得ができるこども学科がある。クラブ活動は硬式野球部の男子と女子、女子ソフトボール部、女子サッカー部がある。主な野球部OBはカープ育成選手だった松浦耕大。

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