広島・クロン 来日初満塁弾 甲子園初見参で完璧!本領発揮2戦連発

 「オープン戦、阪神6-4広島」(9日、甲子園球場)

 本領発揮だ!広島の新外国人、ケビン・クロン内野手(28)=前ダイヤモンドバックス=が9日、来日初のグランドスラムを放った。三回2死満塁から西純の直球を左翼席中段へ運んだ。7日・ヤクルト戦(マツダ)に続き、オープン戦2試合連続アーチ。開幕に向け、主砲候補が上昇気流に乗り始めた。

 静寂を切り裂いた。高い弾道と圧巻の飛距離でファンの視線を独占。クロンはバットを振り抜くと、打球の行方を悠然と見つめた。

 「中軸として打点を挙げることができた。合格点かな」

 三回、初見参の甲子園で5131人の度肝を抜いた。2死から安打と連続四球で満塁となり、絶好の場面で迎えた第2打席。カウント1-2からの5球目、西純の真ん中高め直球を完璧に捉えた。

 打った瞬間に分かる逆転のグランドスラム。打球は長距離砲らしく、滞空時間の長い放物線を描き、左翼スタンド中段に突き刺さった。

 オープン戦2試合連続本塁打。高めの直球に力負けせず、振り抜いた内容にも手応えをつかんだ。「高めを、ああいう形で捉えられるようになったというのは、いいスイングができ始めているかなと思っている」。“来日1号”を放った7日のヤクルト戦まで、対外試合は24打数2安打、打率・083。苦しんだ過去から一転、上昇ムードが漂っている。

 佐々岡監督は「日曜日(7日)の一本が、精神的にも良かったのかもしれない」と満足そうな表情を見せた。3試合続けて5番に座った助っ人の打順にも言及。「いろいろ試している中で兼ね合いもあるが、ああいう風に2死からつないで一発という展開は大きい」と、大量得点を演出できるクロンの状態次第では、4番を任せる可能性を示唆した。

 キャンプ中には甲子園を題材にしたドキュメント番組もテレビで視聴し、聖地の予習もバッチリだった。「甲子園の歴史、どういう球場かを学んで、きょう来た。歴史ある球場でプレーできたことは感慨深いね」。異国の文化を勉強する勤勉さも、魅力の一つだ。

 開幕まで約2週間。試合前には三塁ブルペンで「フロントトス」という正面からのトスを打ち込むルーティンで調整し、状態向上に余念がない。「今やっている練習を、しっかりこなしたい」。V奪還に欠かせない長距離砲。万全の仕上げで26日の開幕戦・中日戦(マツダ)に臨む。

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