広島・鈴木誠 トドメ25号で吹っ切れた「最近ずっと悩んでいた」

 「中日3-17広島」(30日、ナゴヤドーム)

 広島は終盤に打線が奮起して17得点で中日に大勝。存在感を示したのは鈴木誠也外野手(26)だ。七回に代打で登場し同点適時打、八回はダメ押しの25号2ランを放って相手を圧倒した。セ・リーグの本塁打王争いで3本差とタイトルも視界に捉える主砲。この日、巨人の連覇が決まったが、来季の覇権奪回を目指すチームは16年以来、4年ぶりのナゴヤドーム勝ち越しに王手をかけた。

 強烈な勢いで飛んでいく放物線が、戦意を喪失した敵軍をさらに沈めた。見る者全てを魅了する豪快な一発。スタンドから漏れる歓声が、打球のすごさを物語っていた。鈴木誠は打った瞬間に本塁打を確信。バットを振り抜き、その場で白球の行方を見つめた。

 ダメ押しの25号2ラン。休養日のため今季2度目のベンチスタートとなった中、途中出場で2安打3打点と圧巻の存在感を示した。

 まず1点を追う七回。1死一、二塁で1ボールから谷元の直球を「コンパクトに捉えることができた」と同点の中前適時打。三回以降は無得点だった試合展開。主砲の快音が球場の雰囲気を確かに変えた。中日は六回終了時にリードしていれば37連勝中だったが、鉄壁中継ぎ陣の牙城を崩し、大盛の勝ち越し打などを呼んだ。

 さらにトドメは5点リードの八回。1死一塁で、藤嶋の直球を左中間スタンド中段に突き刺した。「結果的にホームランになって良かった」。セ・リーグ本塁打王争いでトップの巨人・岡本と3本差を維持し、タイトルも視界に捉えているが「全く意識していないです」と意に介さない。

 試合前時点で直近5試合は16打数2安打の打率・125と低空飛行だった。「どうやったら集中力を高めて試合に臨めるか、最近ずっと悩んでいた」。球界を代表するスラッガーであっても、微妙な歯車の狂いを実感していた。

 「何か迷ったり集中力が散漫になっている感じもあって、割り切って(打席に)入れなかったり」と要因を分析。だからこそ、この日は「まずは集中して入って、やってみようと。練習では(状態が)いいので、信じてやろうという気持ちでした」。苦悩の末に生まれた快音。七回の適時打は両手をたたいて喜んだ。

 チームに勇気を与え、試合の流れを変えた働きに佐々岡監督は「チャンスで回ってきて打ってくれた。大量得点につながった。大きかった」と最敬礼。17得点に「この勝ちは大きい」と攻撃陣をたたえた。「最後まで少しでもチームの勝利に貢献できるように」と鈴木誠。大黒柱が力強くシーズンを完走する。

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