新井「みんなのおかげ」日本一で花道 コイ焦がれた34年ぶり悲願つかむ

 「セCSファイナルS・第3戦、広島5-1巨人」(19日、マツダスタジアム)

 赤く揺れるスタンドへ、広島・新井貴浩内野手が感謝の視線を向けた。現役最後のポストシーズン。まずは第1関門であるCSファイナルSを3連勝で突破した。試合後は「今日はオレ、何もしてないよ」と控えめに話しつつ「みんなのおかげです」と頼もしい後輩を持ち上げた。

 大一番でも千両役者ぶりは際立っていた。第1戦に好機を広げる四球を選ぶと、第2戦は今シリーズのハイライトを演出した。1点を追う八回に代打で登場し、左翼線へ値千金の同点二塁打。一振りで球場の雰囲気をガラリと変え、CSMVPに輝いた菊池の勝ち越し弾を呼び込んだ。

 プロ20年目。百戦錬磨のベテランでも前夜は「眠りが浅かった」と、なかなか寝付けなかったという。スポーツニュースを見て、ようやく就寝できたのは午前3時ごろ。第3戦のこの夜は出番が訪れなかったが、ベンチで大きな声を張り上げ、ナインを盛り上げた。

 「自分たちはセ・リーグチャンピオンだけど、構えるんじゃなくて攻めていく。精神的にもプレー的にもどんどん攻めていく」

 CS前に説いた心構え。その言葉通りに3位からCSファーストSを勝ち抜いた巨人を圧倒。「まさに、そういうシリーズになったんじゃないかな」とうなずいた。

 何より大舞台で躍動するナインの姿が頼もしかった。「本当にいつもそう思っている。頼もしいし、うれしいです」。チームの合言葉は「新井さんと一緒に日本一」-。最高のフィナーレまで、家族一丸で戦い抜く。

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