広島37年ぶり連覇!!感涙…緒方監督11度舞った

 「阪神2-3広島」(18日、甲子園球場)

 優勝マジック「1」としていた広島が18日、2位・阪神を下して8度目のリーグ優勝と37年ぶりのリーグ連覇を達成した。緒方孝市監督(48)が目に涙を浮かべながら11度、宙を舞った。春季キャンプから「競争」をうながし、現有戦力の底上げをして臨んだシーズン。ナインが応え、敵地のスタンドの約半分を真っ赤に染めた鯉党とともに歓喜の瞬間を迎えた。今年こそ悲願の日本一へと突き進む。

 目頭が熱くなった。自然とあふれ出る涙を手で拭うと、緒方監督が輪の中心に歩みを進める。ナインの手で11度、胴上げされ、甲子園の空に笑顔の花が咲く。「心からうれしかった。本当にご苦労さん、お疲れさん!本当に頼もしい。やつらは」。選手の力強さを全身で感じながら、高揚感いっぱいに宙を舞った。

 チーム内競争をあおり、現有戦力の底上げを図った今季。勝ちながら育て、育てながら勝つ-。そんな究極の理想に挑んだ。最大の目玉は「4番・鈴木」。打線の核は、年間を通して不変でありたいとの思いとともに、将来のチームを見据えての考えだった。「彼しかいないだろう」。4月11日の巨人戦で初めて大役を任せた。

 一時の不調時には、コーチ会議で打順変更ではなく、スタメンから外すプランも議題に上がった。指揮官は首を縦には振らなかった。「監督のメッセージ」と石井打撃コーチ。重責を背負わせた23歳に、結果だけを求めてはいなかった。苦しさを乗り越えた先にあるものを見つけてほしいとの願いを込めた。

 「悔いの残る戦いはしたくない。チームを勝たせるのが自分の仕事」。監督就任時から抱く信念だ。セ界最強打線が最大の矛でも、投手を中心とした守り勝つ野球が理想像。キャンプ中は頻繁にブルペンに足を運んだ。監督室では自軍の投手も分析。盗塁王を3度獲得した広島野球の申し子は、グラブの位置や首の動かし方まで目を配り、野手からの視点を伝えた。

 投手陣の緊急事態に慌てず対応した。大黒柱のジョンソンが開幕直後に体調不良を訴え、新人の床田は4月末に左肘痛で戦列を離脱。野村も腰痛で一時、ローテを外れた。薮田を中継ぎから配置転換。2軍から昇格させた22歳の中村祐は我慢して起用した。薮田、岡田が初めて2桁勝利、野村、大瀬良は9勝。黒田の穴を全員でカバーした。

 抑えは昨季の実績に固執せず、状態を見極めて中崎、今村を併用。彼らへのつなぎ役はジャクソンに加えて一岡、中田を起用した。昨季は5連投もあったが「4連投はさせない」と今季は3連投まででやりくりし、長期的な視点で疲労軽減を優先した。5投手はそれぞれが50試合以上に登板し、チームを支え続けた。

 投手を知りながらチームをまとめていく姿は、師と仰ぐ故三村敏之元監督と同じ道をたどる。「ミムさんも最初は投手は分からん、と言っていた。でも勉強していった」。5年で4度Aクラス入りした三村政権時にスコアラーを務め、親しかった畝投手コーチは、元監督と緒方監督を重ね合わせた。

 私生活でもうれしいことがあった。小学6年の長男・将孝君が5月からサッカーと並行して野球を始めた。昨年広島が優勝したことで、学校中に野球ブームが起こったのがきっかけだという。一度だけ息子から「スイングを見て」と頼まれ、手の皮がめくれるほどバットを振らせた。「そんなもの関係ない。よくあることだ」。愛息への熱血指導は約2時間続いた。

 すべての始まりは2016年10月29日。日本シリーズ第6戦で夢破れた日だ。「忘れ物を取ってきたい」。喜びは1日だけ。広島の空に33年ぶりの日本一のチャンピオンフラッグを-。夢の続きが始まる。

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