誠也が反撃口火!広島が猛追、負けてなお強し! 緒方監督「最後まで諦めなかった」
「広島5-8中日」(21日、マツダスタジアム)
最後まで諦めない。広島の鈴木誠也外野手(22)が、4打数2安打1打点と存在感を示した。5点を追う三回には反撃の適時打。3点を追う九回には2死から四球を選ぶなど“つなぎの攻撃”を見せつけた。中日に対し、マツダスタジアムで今季初黒星は喫したが、首位独走のプライドにかけて、簡単には負けない。
最後まで諦めない姿勢を貫いた。3点を追う九回2死。鈴木は1度もバットを振ることなく、四球を選び試合の勝敗を後続に託した。劣勢の場面で4番が最重要視したのは、次の打者につなぐ事だ。
「あそこで一発を狙ったところで1点を返しても追いつけない。ランナーをためてと思っていたので、しっかり選べてよかった」
チームの勝利を考えた末の結果。続く松山が三邪飛に仕留められ、試合には敗れたものの粘り強さを見せた。
反撃ののろしは若き主砲のバットから飛び出した。5点ビハインドの三回2死二塁。バルデスに追い込まれながらもファウルで粘り好球を待った。「しぶとく打てたのでよかった」とフルカウントからの8球目、内角高めの直球を左前へ運んだ。その間に、二走・丸が本塁へ生還して1点を返した。
4番の一打に打線が奮起。2-7の五回には「しっかり捉えることができました」と菊池のバックスクリーン右へ飛び込む9号ソロで応戦し、七回には田中の適時二塁打。八回は代打・岩本の適時打で3点差にまで迫った。
チーム内で徹底されるつなぐ意識が反撃に結び付いている。「点差を考えてもつながないと勝てない」と4番を任されてもやることは変わらない。
前半戦の終盤には打率が3割を切り、不振脱却へノーステップ打法に取り組むなど、試行錯誤していた。まだ、確かなものはつかめていないが、後半戦開始後の7月19日・阪神戦(甲子園)では4安打、この日も2安打を放つなど復調の兆しを見せつつある。
終盤に追い上げを見せた打線。緒方監督は「最後まで諦めることなく攻撃してくれた」と敗戦の中でも明るい光を見つけた。
今季初めて本拠地で中日に敗れ、2位・阪神とは8ゲーム差となった。首位独走中だが、気を緩めることはない。若武者は試合終了後、ベンチ裏で黙々とバットを振り続けた。チームの軸として、フル回転し、リーグ連覇へとけん引する。