2回戦出場辞退の広陵 初動で適切に対処されていればと思わざるを得ない事態 運営側の対応スピード感の重要さ痛感
甲子園で熱戦が繰り広げられる中、激震が走った。第107回全国高校野球選手権大会に出場している広陵が10日、出場辞退を表明した。同校の堀正和校長が西宮市内で会見を開き、部内暴力に関する情報が交流サイト(SNS)で拡散して生徒への2次被害が生じ、大会運営にも大きな支障を来していることを理由に挙げた。7日に1回戦の旭川志峯戦を突破しており、不祥事による開幕後の出場辞退は大会史上初となった。2回戦は対戦予定だった津田学園の不戦勝となる。
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SNS上で不適切事案が拡散されたことを受け、広陵が2回戦の出場辞退を決めた。7日に3-1で勝利した旭川志峯との初戦の取材後、甲子園のインタビュールームは異様な雰囲気となった。
6日に学校側は部内の暴力行為を公表し、高野連は出場判断に変更なしと発表した。とはいえ、記者はSNSで騒ぎになっていることを認知しており、取材する選手との距離感に苦慮した。私を含む報道陣は「暴力事案」とは言わず「難しい状況となっている中で」-などと断定的な前置きを避ける質問が繰り返された。
敗れた旭川志峯・山本博幸監督(45)は「世間がどうこうにかかわらず僕らは僕らでもう動いている。試合をして3-1で負けたということだけ」と話した。ただ、甲子園出場をかなえたにもかかわらず、広陵との初戦というだけで意図せぬ形で注目されてしまったのも事実。初動で適切に対処されていればと思わざるを得ない事態であり、結果的に広陵が大会に出てきた影響が相手にも及んでしまったことにもどかしさを感じる。
SNSが大きな影響を及ぼした今回の一件。時代が変わりゆく中で運営側の対応のスピード感も重要であると痛感した。(デイリースポーツアマ野球担当・北村孝紀)





