絶望から支え役に徹した2年生主将 弘前学院聖愛・田崎「極限まで落ち込んだ」全治10カ月の大けが
「全国高校野球選手権・1回戦、西日本短大付4-3弘前学院聖愛」(9日、甲子園球場)
弘前学院聖愛・田崎光太郎内野手(2年)がナインに熱い伝令を送るため、マウンドに走った。「誰もが来られる場所じゃない。楽しんでいこう」。弘前学院聖愛はタイブレークの延長十回に力尽きるも、最後まで必死の粘りを見せた。
足取りはどこかぎこちなかった。3月の遠征先で右膝の前十字靱帯を損傷。全治10カ月の大けがはまだ治っていない。「(医者に)6割でなら走って良いよと言われたんですけど、つい9割ぐらいで走ってしまって」と苦笑いを浮かべたが、全力疾走には誇らしげだった。
一度は甲子園を諦めかけた。選手として今年一年を棒に振り、「無理なんだと、野球をやる意味があるのかなと、極限まで落ち込んだ」と退部も頭をよぎった。
だが、原田一範監督(47)は絶望に暮れる田崎に大きな役割を与えた。「試合をつくる人とは別に、チームをつくる人がいれば強いチームとして成り立つ」と2年生ながら主将に任命。田崎は「キャプテンという役職をもらったからには、自分のマイナス感情を入れたら駄目」と前を向き始めた。
サポート役の主将として駆け抜けた夏に、涙はなかった。「他に泣きたい人がいっぱいいる。自分が泣いていたら成り立たない」と気丈に振る舞った。走れなくても、野球ができなくても、甲子園という存在に向かって球児たちは成長する。
◆田崎 光太郎(たざき・こうたろう)2008年8月29日生まれ、16歳。青森県出身。166センチ、70キロ。右投げ左打ち。内野手。小学2年から黒石ベースボールクラブで野球を始め、弘前学院聖愛中では聖愛リトルシニアでプレー。弘前学院聖愛では1年春から背番号4を背負った。今大会は背番号10。趣味は温泉。将来の夢は建築士。





