「日本ハム紅白戦、白組４－４紅組」（１５日、エナジックスタジアム名護）

　たった２度のスイングで指揮官もベタぼれだ。日本ハム・新庄剛志監督（５３）がドラフト１位・柴田獅子投手（１８）＝福岡大大濠＝を激賞した。紅白戦で紅組の「９番・ＤＨ」にスタメン起用。プロ初実戦の１８歳にハートをわしづかみにされた。

　三回に迎えた柴田の初打席。初球の直球を思い切りよく空振りした後の２球目だ。玉井の内寄り直球を捉えた左中間への大飛球は、逆風もあってフェンス手前で失速して中飛に。それでも、本塁打にあと一歩の当たりに観客からはどよめきと大きな拍手が起こった。

　「すごくないですか？」。そう切り出した新庄監督。打った瞬間は、思わず両手を胸の辺りまで上げて驚いていた。積極的に振りにいく姿勢、打球角度、左中間への飛距離、フォロースルーの大きさなど長所を列挙。投打「二刀流」を視野に育成される最速１４９キロ右腕に「あのスイングを見たら、ピッチャーはいいかなと思います（笑）」と、冗談交じりに打者としての素質を絶賛した。

　評判にたがわぬインパクトを残した柴田は「やっぱりプロの球は違う。感触的には悪くなかったけど、伸びなかった。パワー不足を感じました」と謙虚に振り返った。ただ、顔には笑みも浮かんだ。この日の朝には、大谷翔平（ドジャース）の日本ハム時代の動画でイメージトレーニング。ミートするポイントを参考にし「逆方向に意外と飛んでいったので良かった」とうなずいた。

　柴田の初実戦は１打席限定。今後のキャンプ期間中は試合に出場せず、２軍で練習を積ませる方針だ。新庄監督は「楽しみですよ、本当に」と実感を込め「自分を作ってほしいね」と願った。ダイヤの原石が放った輝きに、喜びがにじみ出た。

　◆柴田　獅子（しばた・れお）２００６年４月１８日生まれ、１８歳。福岡県出身。１８７センチ、８７キロ。右投げ左打ち。投手。庄内中、福岡大大濠を経て、２４年度ドラフト１位で日本ハム入団。最速１４９キロのスケール感たっぷりの本格派で、昨年夏の福岡大会初戦では５回参考ながらノーヒットノーランを達成。高校通算１９本塁打の打撃も魅力。