阿部巨人 日本一の阪神に大勝発進 左打者6人で左腕伊藤将を攻略も「特にない」 秋広の初球左飛に「野球を知らない」

 「オープン戦、巨人9-4阪神」(23日、沖縄セルラースタジアム那覇)

 予告通りの積極采配が、ズバッ、ズバッとハマッた。オープン戦開幕戦から、昨季の日本一チームに大勝。動く、動く。失敗を恐れない阿部野球が、初回の猛攻7得点を生んだ。天敵・伊藤将に、岡田阪神に「変化」を植え付けた采配と攻撃。価値ある1勝だった。

 「左バッターが多いから仕方ないよね」。巨人・阿部慎之助監督(44)は試合後、真意を明かさなかったが、シーズンに向けた布石を打った。左打者を6人並べたオーダー。初回、いきなり1番・松原が中前打で出塁すると、続くオコエはフルカウントから、4球ファウルで粘って四球を選んだ。

 無死一、二塁。続く3番・門脇には犠打を指示した。初球を転がして走者を進めると、4番・岡本和が先制の右前適時打。相手野手のミスも絡んで2点目を奪うと、ドラフト3位の佐々木(日立製作所)から大城、秋広と左が続く下位打線がつながる。5者連続タイムリー。打者12人で一気に7点を奪った。

 「点を取るのが野球だから。なにか方法を…打つばっかりでは難しいので」。こだわってきたのは1点を奪い取る野球。個人の役割をサインで明確に伝え、打席では勝つための自己犠牲を求める。昨季、伊藤将の被打率は右・228、左・221。データに差はないが、「左には右」の常識を疑う攻撃に「いい材料にはなった」とうなずく。

 ただ、まだオープン戦。収穫以上に、課題に目を光らせる。佐藤輝に2ランを浴びた直後の攻撃。1死から初球に手を出し、左飛に倒れた秋広に「野球を知らない」と厳しく苦言。伊藤将攻略にも「公式戦だったら褒めてあげたいけど、特にないです」と続けた。それでもあいさつ代わりとして、強烈なインパクトを残した1勝。新生巨人の変化を感じさせた大勝だった。

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