49選手参加のトライアウト 「心の整理」「引退試合」と区切りの場にする選手も

 合同トライアウトに挑んだ一二三(撮影・伊藤笙子)
 合同トライアウトを終え、感慨深げにボールを見つめる一二三(撮影・伊藤笙子)
 有観客で行われた合同トライアウト(撮影・伊藤笙子)
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 「12球団合同トライアウト」(8日、楽天生命パーク宮城)

 01年から始まった合同トライアウト。NPB復帰へ再起をかけて挑む選手がいる中、最近では“引退試合”や“区切り”をつけるために臨む選手も少なくない。

 今年は49選手が参加。16年オフに阪神を戦力外となった一二三慎太氏(30)は、高校以来、12年ぶり投手として合同トライアウトに参加。右サイドから、打者3人に対して2つの三振を奪うなど好投した。

 一二三氏は「僕はいまトレーナーをやってて、挫折してしまう人がいて。僕が手本を見せようと。現役復帰とか考えてなくて、そんな甘い世界じゃない。僕自身、肩はボロボロ。周りの支えてくれた人に、なんらかの恩返しをしたいと出させてもらった」と、出場の理由を説明した。

 戦力外通告を受けたものの、“不完全燃焼”の思いを抱えている選手も少なくない。トライアウトはこの時期の風物詩となっており、今年も3000人超のファンが観戦。楽天・福井の登板時には、古巣カープファンのユニホームを掲げる人の姿もあった。

 この日、野手陣は広島の安部が中心となり、ユニホームもバラバラな選手たちで円陣を組んで声を出す場面があった。他球団での現役続行を目指す安部は「戦力外なんで、僕自身燃え尽きない思いがあったので、結果は散々でしたけど、こうやってグランドで野球ができる喜びを噛み締めて、今日は楽しめたんじゃないかと思います」。元チームメートの福井らと記念撮影を行うその表情には充実感もにじんでいた。

 各球団の編成担当はシーズンを通じて2軍選手もチェックしているため、ほとんどの選手の“実力”は把握。それを見越して、トライアウトを見送る選手も少なくない。ただ、社会人野球や独立リーグの編成担当も注目しており、今も最後の“テスト”の意味合いもある。

 20年に広島から戦力外通告を受けた藤井皓哉(現ソフトバンク)は、同年オフにトライアウトを経て独立リーグ・高知に入団。その後、NPB復帰を果たし、今季はソフトバンク投手として55試合に登板した。

 デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「藤井のように環境が変わればうまく花が開く選手もいる。特にけがなどに苦しんでいた選手にとっては、今も体が元気だというアピールをする面では大切な場になる」とした。

 昨年は参加者33人の内、トライアウト後にオファーがあったのは日本ハムの古川侑のみ。今年は狭き門を突破する選手はいるだろうか。

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