酷暑乗り切る必勝法 のど渇く前に水分補給 朝食はしっかり

 今年も酷暑の夏がやって来る-。夏の甲子園出場をかけた戦いが行われる6月と7月、そして本番の8月は気温、湿度がともに高く、心配されるのが熱中症だ。球児が最後まで最大限の力を発揮できるように、事前に対策を練ることが必要。水分補給、食事などからできる熱中症対策を、管理栄養士で日本高野連の理事を務める立命大スポーツ健康科学部の海老久美子教授(59)に聞いた。

  ◇  ◇

 いかにベストパフォーマンスを発揮できるのかが、勝利へのカギを握る。炎天下、繰り広げられる夏の大会。乗り越えるには、どれだけ事前に対策ができるかが大切になる。球児が持っている力を出し切るための秘訣(ひけつ)を、日本高野連で理事を務めるアスリート食のスペシャリスト・海老教授が明かした。

 「のどの渇きを感じる前に、夏はなるべくこまめに水分を補給するという工夫が必要」

 まずは、効率のいい水分補給で先手必勝だ。水分が不足することで、集中力が欠落するだけでなく、体温が上昇して熱中症にもつながる。そのため補給するタイミングはのどが渇いたと感じる前。水分不足によって、体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりして、めまいやけいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす原因にもつながる。

 ポジションの中で海老教授が特に注意が必要としたのはバッテリー。「投手は1人で投げきっていることが多いし、キャッチャーは防具を着けているので発汗量が他の選手よりも多い」と話す。攻守交代があるものの、状況次第では守備の後すぐに打席へと向かわないといけない。そのため、他の選手よりも運動量が多いにもかかわらず、十分な水分補給ができないまま試合に出続けてしまう可能性がある。

 実際に今春の近畿大会準決勝では、近江(滋賀)のエース・山田が水分不足などにより右足ハムストリングにけいれんを起こして途中降板。体内に熱がこもるなど、一時は体温が37・9度まで上昇する脱水症状のようなものが見られた。

 攻守交代があり、ベンチワークができる野球。「試合時間が長くなるので、ベンチの中での補給対策というのをいかに考えていくかによって、かなり違いが出てくる」と海老教授。勝負はグラウンド内だけで行われているわけではないとした。

 また、試合に向けた準備は朝から始まるという。「朝ご飯をしっかり食べることは、水分補給のためにも重要」。一般的に夏場になれば食欲が低下するとされている。ただ、激しい運動をする選手らは食べないといけない。練習ではスイカやキュウリ、トマトに少し塩をかけて「食べるスポーツドリンク」として活用したり、試合ではベンチに糖質補給としてレモンのはちみつ漬け、タンパク質補給として角チーズなどをクーラーボックスに用意しておくのもおすすめだ。

 18日の沖縄から地方大会が開幕する。3年生にとって最後の夏。“無念の交代”が少しでも減るように-。猛暑に勝ち、悔いのない戦いで日本中を熱くさせてほしい。

 ◆熱中症予防のための水分補給 200~250ミリリットル(コップ一杯分程度)を1時間に2~4回に分けて、のどが渇く前に補給することが重要。気温が高いときには15~20分ごとに水分を取ることで体温上昇が抑えられる。また、長時間運動をする際には、真水ではなく0・1~0・2%の塩分と4~8%の糖分と一緒に補給することが望ましい。

 ◆海老久美子(えび・くみこ)1962年8月9日生まれ、59歳。神奈川県出身。管理栄養士。博士(栄養学)。公認スポーツ栄養士。立命館大スポーツ健康科学部教授。(一財)全日本野球協会。日本高野連理事。著書に「野球食」「野球食Jr.」「野球食のレシピ」「女子部活食」(いずれもベースボール・マガジン社)など。

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