広島商 20年ぶり聖地で校歌 16安打中15本が単打 伝統の“つなぐ野球”で4元号星

 「選抜高校野球・1回戦、広島商22-7丹生」(23日、甲子園球場)

 20年ぶり22度目の出場となった広島商(広島)が16安打22得点で、20年ぶりの甲子園白星を挙げた。同校の甲子園での22得点は、1916年夏・1回戦での19得点を106年ぶりに更新する歴史的大勝。史上4校目の「大正」「昭和」「平成」「令和」の4元号勝利も達成した。2回戦は26日、鳴門-大阪桐蔭の勝者と対戦する。

 20年間の思いが詰まった校歌を、かみしめながら歌った。アルプス席に駆け寄る選手たちに注がれたのは、温かく大きな拍手。曇り空の甲子園に、広商ナインの笑顔の花が咲いた。20年ぶりの甲子園白星に荒谷忠勝監督は「(選手たちは)生まれてないですよね。本当に長いなと思いますし、まだまだ道半ば。きょうも色んな失敗をしていたので、生かしたい」と振り返った。

 初回に3点を先制。直後の二回に4点を失って逆転されたが、すぐさま5点を奪って主導権を握った。三回以外は毎回得点と、最後まで攻撃の手を緩めず22得点。同校が初めて甲子園に出場した1916年・第2回選手権大会1回戦の中学明善戦でマークした、学校別の最多得点記録(19得点)を106年ぶりに更新した。

 16安打中、実に15本が単打と伝統の“つなぐ野球”を発揮した。初回に先制の左前2点適時打、二回も勝ち越しの適時打を放った松浦太河捕手(3年)はこの日が誕生日。試合前に仲間から「誕生日おめでとう」と祝福された扇の要は「詰まることを怖がらずに打てた」と笑った。

 大会前の今月10日。練習後に背番号発表が行われた。部員109人を前に、荒谷監督は熱く訴えかけた。「広商だから、勝ち続けないといけない。強い人間にならないと」。自分を律する心、簡単にあきらめない粘り。さまざまな面で、精神面のたくましさを促してきた。同時に重んじたのは自主性。「自分たちでやることが、達成感になる」と指揮官はその狙いを明かした。

 体力面では昨秋の中国大会後、増量計画を掲げた。各選手が身長から100を引いた体重を目指し、主将の植松幹太内野手(3年)は「まわりの選手も体つきが変わった」と成果を実感した。

 心と体を鍛えて、4元号勝利。「敗戦の歴史から学ばないといけない、という広商の教えがある。当時の指導者の方、選手の方々が広商の野球を受け継がれてこられて4元号で勝利を収められた。非常に感慨深いものがあります」と荒谷監督。広島の古豪が、新たな歴史を聖地に刻んだ。

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