ヤクルトが選球眼で巨人を圧倒 高代氏「チーム一丸で低めの変化球を我慢していた」
「セCSファイナルS・第3戦、ヤクルト2-2巨人」(12日、神宮球場)
九回同点によるコールドで引き分け。アドバンテージを含む0勝3敗1分けとなり、巨人の敗退が決まった。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「ヤクルトは低めの変化球を我慢して四球を選ぶ。チーム一丸で巨人を倒した」と選球眼の差に焦点をあてた。
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巨人は3試合トータルで2点しか取れなかった。あまりにも打てなかった。敗因を挙げるなら、この打線だろう。
四番の岡本和を欠いたうえに、ファイナルステージに入ってトップバッターの松原がさっぱり。この状況で1、2番をいじるのだから推して知るべしか。
四回の無死二、三塁で追加点を取れなかったのは痛恨だった。前半は巨人が押しているのに、無安打のヤクルトが押しているように錯覚するほど、重苦しい空気が流れているように思えた。
しかし、3試合の合計安打数はヤクルトも巨人も同じ15本。お互いに打っていない。それでもヤクルトは11点を奪い、巨人は2点しか取れなかった。
その得点力の差を私は、四球の差に置き換えることができると考える。
3試合の巨人の四球獲得数7に対してヤクルトは17(申告敬遠を含む)。投手の制球力も関係しているだろうが、選球眼の違いをまざまざと見せつけられたようにも感じる。
七回2死満塁のチャンスに、青木が中川の初球をたたいてレフト前への2点打を放ったが、その直前の二死一、二塁で塩見が四球を選んだ。
低めの変化球に何とかバットが止まって一塁へ歩いた。これでお膳立てが整った。
四回にはメルセデスから3四球を選んで満塁まで攻めた。結局、得点には至らなかったが、こういう攻撃は投手にとって大きな圧力になる。
巨人も四球を絡めて得点を挙げていたが、3試合を通じてヤクルトの選球眼の良さを痛感したのではないだろうか。
打席での粘りはシーズンを通したもので、実際にチーム成績にも表れている。
(今季のセ・リーグのチーム別四球数はヤクルトがトップで513。以下巨人431、DeNA407、阪神406、広島402、中日326)
ヤクルトの選手は、低めの変化球をできるだけ我慢して、ボール球を振らないようにしている。全員がその意識をもって打席に入っているところに、チーム一丸で戦っている様子がうかがえる。
この試合、ヤクルトは3安打しか放っていない。それでも負けない。四球を絡めた効果的な攻めと、じわじわと力をつけている投手を中心にしたディフェンス力だ。
巨人とのシーズン対戦成績は11勝11敗3分けの互角だが、この3試合を見る限り、やはりセ・リーグのチャンピオンチームという印象。
巨人の守りはシーズンの戦いぶりそのままで、デラロサが打ち込まれるなど、投手継投に苦労していた。
仮にこの試合に勝っていたとしても第4戦の先発投手は高木。やはり継投でしのぐしかない。いずれにしろ厳しかっただろうね。