松坂大輔引退会見「野球を好きなまま終われて良かった」経験した「良い思い」と「どん底」

 引退会見に臨む松坂
 花束を手に西口コーチ(左)と握手を交わす松坂
 渡辺GM(左)にあいさつする松坂
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 西武の松坂大輔投手が19日、埼玉県所沢市内で引退会見を行った。スーツ姿ではなく、ユニホーム姿で登壇。時折目を潤ませ、言葉につまらせながら、思いを語った。松坂は20年7月に右腕のしびれを訴え、脊椎内視鏡頚椎手術を受けて、シーズン中の登板はなし。今季も右手のしびれの影響から実戦登板のないまま7月7日に現役引退を発表していた。

 23年間の現役生活を振り返って「本当に長くプレーさせてもらいましたけど、故障との戦いだったなと思います」と振り返り、「最初の10年間があったから、ここまでやらせてもらえたと思っていますし、僕みたいな選手はなかなかいないかもしれないですね。一番良い思いと、どん底を同じぐらい経験した選手はいないかもしれないですね」と語った。

 紆余曲折のプロ野球人生だった。高卒ルーキーだった1999年から3年連続最多勝。その後も勝ち星を重ねると、メジャー移籍した2007年に15勝、08年に18勝を挙げるなど、10年間で135勝を挙げた。だが、09年以降は度重なる負傷に悩まされた。11年にはトミー・ジョン手術も受けた。その中で、納得のいく成績は残せないでいた。

 「通算勝利数も、170個積み重ねてきましたけど、ほぼ最初の10年でできた数字ですよね。150勝が08年ぐらいだったと思うので。自分の肩の状態とか良くはなかったですけど、そこからさらに上乗せできると思っていましたから」

 15年にはソフトバンクで日本球界に復帰。3年間で登板1試合に終わり、18年に入団テストを経て中日入り。同年は6勝を挙げたが。19年は未勝利だった。20年から古巣西武に復帰したが、登板はできずにいた。

 「選手生活の後半はたたかれることの方が多かった」と振り返る。「これまではたたかれたり、批判されたりすることに対して、それを力に変えてはね返してやろうと思ってやってきましたけど、やっぱり最後はそれも変えられなかったですね。心が折れたというか、受け止めてはね返す力がなかったですね」と明かした。

 故障と戦いながら、辛い思いを背負いながら耐えて現役生活を続けてきた。その原動力を問われて、こう答えた。

 「これは僕だけじゃなくて、ケガをしている選手はいると思うんですけど、その時間はすごく苦しいんですよね。周りの方が思っている以上に。僕の場合は野球を始めたときと変わらない野球の楽しさ、野球が好きだというのをその都度思い出して、何とか気持ちが切れないように戦っていた時期はありますね。どんなに落ち込んでも野球が好きだ、まだまだ続けたい、僕もギリギリのところでやっていたなと感じますね。いつその気持ちが切れてもおかしくなかった」。

 そして言葉を続けた。「好きなまま終われて良かったです」。

 ◆松坂 大輔(まつざか・だいすけ)1980年9月13日生まれ、37歳。東京都出身。183センチ、93キロ。右投げ右打ち。投手。背番号18。横浜高時代の98年春夏全国制覇。同年度ドラフト1位で西武入団。99年4月7日・日本ハム戦(東京ドーム)でプロ初登板初先発初勝利。最優秀防御率2回、最多勝3回、最多奪三振4回、新人王、沢村賞、ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞7回。2007年にポスティングシステムでレッドソックス移籍。13年途中からのメッツを経て、15年にソフトバンクで日本球界復帰。06・09年WBC日本代表(いずれもMVP)。

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