ヤクルト村上 通算100号 清原超え最年少21歳7カ月「始まりもこの神宮」
「ヤクルト5-1広島」(19日、神宮球場)
神宮の空が夕暮れに染まり始めた頃だった。偉業を奏でる快音が響き渡る。ヤクルト・村上が一振りで決めた。プロ4年目、通算379試合目でたどり着いた史上最年少100本塁打。「始まりもこの神宮だった。節目、節目は何か縁があるのかな」。笑顔の100号だ。
駆け足で先輩たちの足跡を抜き去った。青木の先制2ラン後、1死から打席へ。高めのカットボールをフルスイングで捉えると、ゆっくりと歩き出した。大きな拍手を背にダイヤモンドを一周した。
神宮は始まりの場所だった。ルーキーイヤーの18年9月16日、初めて打席からの景色を見た。初打席で描いたプロ1号の鮮烈デビュー。「あそこがスタートだった」。快音を積み重ね、清原和博(西武)が持つ21歳9カ月の最年少100本塁打の記録を21歳7カ月で更新。379試合での100本塁打は日本選手では4番目のスピード記録で、左打者では松井秀喜(巨人)らを抑えて最速の達成だ。
プロ野球選手になりたい-。憧れを追い、夢は原動力になった。九州学院では1年春からレギュラー。甲子園にも4番として立ったが、2年、主将だった3年の夏は共に熊本大会決勝で涙をのんだ。
「(高校で)負けたくないという気持ちを学びました。悔しい思いをしても、結果で返すしかない。そう思って練習しました」
試合後には17日の巨人戦から両親を招待していたことを明かし、「僕が打たないと帰らないかな」と笑う。感謝のメモリアル弾で成長を届けた。「まだ通過点。もっともっとうまくならないといけない」。神宮の空にかかる夢。村上伝説はまた、ここから始まる。