巨人・松原の不可解なバスター選択「これでは勝てない」と高代氏
「巨人6-6ヤクルト」(18日、東京ドーム)
引き分けに終わったこの試合の注目すべきシーンは、九回一死一塁で見せた巨人・松原のバスター選択。結果失敗に終わり、サヨナラ機を逸した。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「まったく不可解。これでは勝てない」とピシャリ。
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えっ、なんだこれは!と思わず叫んでしまった。あれがベンチのサインなら仕方がない。しかし、松原自身の判断でバスターを選択したのならば、それは間違い。こんなことをしていては勝てない。
場面は同点で迎えた九回裏。一死一塁で打席に松原。初球はバントを試みたが、ファウル。ボール球が2つ続いたあとの4球目だった。
ここでバントの構えから打ちにいってファウル。しかもボール気味の球だ。原監督は走者を二塁へ送った後、最も信頼のおける坂本、岡本の2人と心中する覚悟だったはずだ。何が何でも走者をスコアリングポジションに置く。そう決断したうえでのバント指示だろう。
ところが、バスターを選択し、結局、レフトへのファウルフライで走者を送ることはできなかった。
ところで、なぜ松原はバスターを選択したのか、それが不可解でならない。
ヤクルトの守備隊形は完全なバントシフトを敷いていなかった。一塁手はほとんど出てきていない。むしろバントはしやすかったはずだ。
だから冒頭に触れたように、「松原の判断なら」という条件がつくのだが、いずれにせよ松原は打球を転がさなければいけない。
彼はよく大事な場面で打ち上げる傾向にあるが、選手には役割というものがある。送るのは松原。決めるのは坂本であり岡本だ。
最終打者になった坂本は二死一塁から遊飛に倒れたが、明らかにホームランを狙ったスイングだった。
野球は流れのスポーツ。仮に二死二塁の状況なら外野は前進守備。ジャストミートすれば外野の頭を越えるのだから、坂本はもっとコンパクトなスイングをしていたはず。おそらく歩かされたとは思うが、岡本も同じ意識で打席に立っていただろう。
ただ、3発打って6点取っても勝てなかった最大の原因は先発したメルセデスにある。
初回一死一、三塁で村上の投ゴロをうまく処理できず、先制点を献上した。併殺なら無失点だった。その前に青木の打球を左スネに当てて内野安打にしたが、これも正面のさばける打球。
五回途中で降板するまで毎回、先頭打者を出していたが、この日はフィールディングから崩れた印象がある。やはり選手は1球1球に集中すること。単純だが、これしかない。
4点リードを守れなかったヤクルト。満塁で2併殺など大味な野球を展開した巨人。阪神が勝っただけに、お互いにこの引き分けは痛いね。