広島新庄 夏5年ぶり「チーム一丸で戦った」 名将迫田氏の後任・宇多村監督が目に涙

 「高校野球広島大会・決勝、広島新庄12-0祇園北」(1日、しまなみ球場)

 広島新庄が祇園北を12-0で下し、5年ぶり3度目の優勝を飾った。打線が14安打を放ち、先発の西井拓大投手(3年)は7回無失点。春夏通じて初の甲子園出場を目指した祇園北を投打で圧倒した。今春のセンバツに続く甲子園出場にナインは歓喜の輪を作った。全国高校野球選手権は9日に開幕。組み合わせ抽選会は3日に行われる。

 最後の打者が三振に倒れるとナインはマウンドに駆け寄り、人さし指を突き上げて歓喜の輪を作った。春夏連続の甲子園出場を決め、目に涙を浮かべた宇多村聡監督(34)は「チーム一丸で戦った結果。素晴らしい、頼もしい選手たちだなと思います」とたたえた。

 初回、3安打に3四球を絡めて5点を先制。主導権を握ると小技や盗塁を絡めた隙のない攻撃で小刻みに加点した。打線がつながりを見せ、14安打12得点で相手を圧倒。投げては先発左腕の西井が7回無失点と好投した。主将の大可尭明内野手(3年)は「コツコツとつないでいくという自分たちの野球ができた」と胸を張った。

 甲子園に春夏通算6度導いた迫田守昭前監督(75)の後を受け20年4月にコーチから昇格した宇多村監督。偉大だった名将の後任に「当然プレッシャーはあった」という。それでも「自信を持ってやりたいことをやっていると伝えたかった」と、19年に白血病のため亡くなった母・和子さんへの感謝と恩返しを胸に刻み指揮を執ることに決めた。

 広島新庄の伝統である守り勝つ野球をモットーにしながら、時には選手以上に声を出してナインを鼓舞するスタイルを貫く。「コーチ時代からやってきたこと。これが自分らしさなので」と若手監督らしく、元気はつらつとした姿勢でチームをもり立てている。

 昨秋、今春とも県大会を制し、県内無敗のまま、5年ぶり3度目となる夏切符を手にした。今春のセンバツでは2回戦で敗退しており、夏は1つでも多く勝ち上がることを目指す。「高校球児にとって素晴らしい舞台。力を遺憾なく発揮できるようにしたい」と話す指揮官のタクトに導かれ、広島の絶対王者が全国で輝きを放つ。

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