ロッテ・平沢、オープン戦1号 故郷宮城の友のためにも今年こそ定位置獲りだ
「オープン戦、楽天3-2ロッテ」(9日、静岡草薙総合運動場硬式野球場)
低めの直球を高速スイングで捉えたオープン戦1号が右翼席中段で弾んだ。東日本大震災から10年。被災を経験し、今季に懸ける思いが人一倍強いロッテ・平沢が、左手で小さくガッツポーズした。
八回。1-1からの3球目。高田萌の145キロ直球を仕留めた。「打席数が少ないので、しっかりアピールできるように初球からどんどん振っていかないといけない。しっかりと打てて良かったです」。開幕1軍、そして内野のレギュラー獲りを目指す男が結果で示した。
宮城県多賀城市出身。昨年は初めて1軍出場がなかった。6年目は自分のため、故郷にいる友のためにも活躍しなくてはいけないと誓いを立てている。10年前の3月11日。当時は中学1年だった。学校の先輩も亡くなり、悲しみに暮れた。
父・政幸さんはがれきの撤去作業に従事するなど、周囲の人の苦労は身に染みている。「10年はあっという間でしたけど、忘れちゃいけない。時間がたてば風化してしまうこともありますけど、胸にとどめながら頑張っていきたい」と意を新たにする。
7日の西武戦でオープン戦初適時打を放つなど猛アピールを続けている。昨オフに右肘を手術。まだ少し痛みが残るが、井口監督は「彼もレギュラー争いが懸かっている。万全でない中でもやることはやらないと」と定位置獲りへのさらなる発奮を期待した。