米大リーグ・ヤンキースから８年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手（３２）が３０日、東京都内のホテルで入団会見を行った。１１年に発生した東日本大震災から１０年を迎える節目のシーズンに、８年ぶりの古巣復帰を決断した経緯を激白。チームを１３年以来の日本一へ導くとともに、開催が延期となった東京五輪での金メダル奪取を宣言した。

　復帰会見は序盤、和やかなムードで進んだ。田中将は一緒に登壇した三木谷オーナー、石井ＧＭ兼監督の話に小刻みにうなずきながら時折、笑顔も見せた。それでも自身の思いを語る場面になると、真剣なまなざしで熱い思いを口にした。

　「日本のファンの前で投げられるというところに、もうワクワクが抑えられていない状態ですね。成長した姿をお見せすることができたら」

　初のＦＡとなった今オフ。当初はヤンキースとの再契約を目指した。残留が厳しくなった後は、メジャー球団からの獲得オファーもあったという。「悩んで、悩んで、悩み抜いた」。最終的には楽天のユニホームに袖を通す決断を下した。

　今回は２年契約を結んだが、今季終了後には球団と話し合いの場を持つことを明かした。「まだアメリカでやり残したこともある」。ワールドシリーズでのチャンピオンリング獲得などを目指し、来季以降のメジャー復帰にも含みを持たせた。

　ただ、古巣復帰を決めた今、メジャーへの思いは封印。「こだわりたいタイトルは日本一。今は日本一になること以外、考えてない」と言い切った。

　第一線で活躍していたメジャーリーガーの帰還は異例。「キャリアの晩年ではなく、バリバリ投げたい思いは初めからあった」。メジャー挑戦時から、古巣復帰の思いを秘めていたことも明かした。

　今回の決断で、開催が延期となっている東京五輪出場への道も開けた。「金メダルを獲りたいと思います」。一世一代の自国開催でのメダル獲得にも強い決意を示した。

　楽天にとって、今季は重要なシーズンとなる。３月１１日には、１１年に発生した東日本大震災から１０年が経過する。田中将は「今でも一緒になって頑張りたい思いがある」。１３年にはレギュラーシーズンで無傷の２４連勝を記録し、球団初で唯一の日本一に貢献。東北に勇気と希望を与えた。

　日本で最後の登板は、１３年１１月３日の日本シリーズ第７戦。あの歓喜から７年を経て、絶対的なエースが夢の続きを運んでくる。