中日・大野雄大に沢村賞 完投数など評価 菅野を推す声も「ベスト1の投手を」で決定

 プロ野球のセ、パ両リーグから、先発完投型の本格派投手から最も優れた投手を表彰する「沢村賞」の選考委員会が23日、行われ、中日の大野雄大投手の初受賞が決まった。巨人の菅野智之投手を推す意見もあったが、最終的には、より多くのリーグ内最高記録(防御率1・82、完投数10、完封数6、投球回148回2/3、奪三振148)をマークしたことなどが評価された。

 堀内恒夫選考委員長は、議論で集中したのは「菅野君と大野君。この2人に関しての意見でございました」と明かした。今季は試合数が120試合と、従来よりも少ないこと、新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、過密日程となり調整そのものが難しかったことなどを加味した上で「選考委員が出した結論はベスト1の投手を選ぼうということでございます。そのベスト1は中日の大野雄大選手でございます」と発表した。

 議論の当初から大野雄を推したのは堀内委員長、平松政次委員、山田久志委員。堀内委員長は連続イニング無失点や「完投、完封、そういうものをいろいろ加味して」結論を出したと明かした。ただ、菅野が開幕から13連勝していることが「一番悩んだ」と、難しい要素になったと振り返った。

 平松委員は大野雄の完投と完封の多さを決め手に挙げ、「我々は口酸っぱく言っているが、沢村賞の本来の先発完投の姿を大野君がここで見せてくれた」とたたえた。山田委員はコロナ禍により調整が難しかったことを踏まえ、菅野の開幕13連勝を「頑張りは絶賛していい」と語った。しかし、「今年はやはり大野投手がナンバー1だろう」と決断した。

 村田兆治委員は「菅野投手に指名をした」と明かした。「菅野はフォームを変えた。右足にしっかりタメを作って、彼は沢村賞を取れた時のことをすごく意識して、球界全体的にこれから先発完投という意味で」と果たした役割の大きさを評価した。ただ、大野雄の完投数の多さをはじめとする、高水準の成績から最終的には「私も同意をした」と語った。

 療養のため欠席した北別府学委員は意見を文書で堀内委員長に託した。委員長は「大野君と菅野君の2人と(いう意見だった)。その2人の中でベスト1を選ぶなら私は大野君だと。ただダブルもあってもいいのではないかという意見でございました」と代弁した。

 沢村賞は先発完投型の投手を表彰する趣旨から、「防御率2・50以下」、「25試合以上」、「15勝以上」、「10完投以上」「勝率6割以上」、「200投球回以上」、「150奪三振以上」と各部門で高い水準の成績をクリアすることを選考基準としているが、全項目をクリアしていなくても選考対象にはなる。大野雄は防御率、完投、勝率で、菅野は防御率と勝率でクリアしている。

 近年では17年と18年に菅野が連続受賞。19年は該当者がなかった。

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