オリックス【きょうは何の日】1989年、ルーキー酒井、八回無死満塁斬りで初S

 「日本ハム-2-4オリックス」(1989年9月10日、東京ドーム)

 無死一、二塁からトニー・ブリューワを歩かせすべての塁が埋まった。

 2点リードの八回無死満塁。絶体絶命の大ピンチ。上田利治監督は先発の星野伸之をここで諦めてルーキーの酒井勉をマウンドに送った。

 「鈴木、島田誠と左打者が続くところで、ブリューワからと思ったが、2人走者を置いてしまった」

 心の準備はしていたが、ブルペンではボールが走らない。カーブも曲がらない。こんなとき開き直れるのが、酒井の真骨頂だ。

 ブライアン・デイエットを詰まらせてて浅い中飛。大島はカーブ攻めで三振。古屋英夫も左直で切り抜けた。九回も2人走者を出しながら最後の打者・白井一幸を左飛に打ち取りプロ初セーブだ。

 さすがのルーキーも登板後はフラフラ。3年連続2桁勝利となった星野と握手をしたことも忘れた。

 「抑えの人って1年間、よく持ちますね。体はともかく心が続きません。マウンドに行くのがこれほど怖いとは…」

 リリーフに期待した山内嘉弘、伊藤隆偉が不調で2軍落ち。佐藤義則も2試合連続で失敗。

 「安心して見られるのは酒井しかいない」と山口高志投手コーチは先発型と分かっていながらも酒井に賭けた。

 サバイバルレースに連敗は許されない。上田監督は「追加点さえ取っておけばこんな展開にならんで済んだのに。酒井は緩急をつけてうまく投げてくれたよ」と絶賛した。

 首位・近鉄とは0・5ゲーム差となった。

 当日のスタメンは次の通り。

(5)松永浩美

(4)福良淳一

(D)門田博光

(3)ブーマー・ウエルズ

(8)トッド・ブラウン

(7)石嶺和彦

(9)本西厚博

(2)中嶋 聡

(6)小川博文

(P)星野伸之

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