智弁学園・三田 亡き“戦友”の分まで駆け回った
「高校野球交流試合、中京大中京4-3智弁学園」(12日、甲子園球場)
颯くん、約束した夢の舞台で一緒にプレーしよう-。「1番・遊撃」でフル出場した智弁学園(奈良)・三田智也内野手(3年)は、亡き“戦友”の思いを背負い、2人分の力で甲子園のグラウンドを駆け回った。
昨年11月、いとこで1歳年上の狩野颯太(そうた)さんがガンのため他界した。「最初の頃は信じられへんくて…」。心の支えだった大きな存在を失い、しばらくの間、悲しみから立ち直ることができなかった。
小学生の頃、颯太さんを追って野球を始めた。「颯くんは身長が高くて、勢いで押すタイプのピッチャーでした」。中学時代は同じチームに所属し、投手だった彼の背中を守ったこともあった。だが、中2の頃にガンが発覚し野球を続けることが不可能に…。そんな状況でも「もっと練習して頑張ったらええやん」と励ましてくれた颯太さんを、約束の場所に連れてきた。
「一緒に甲子園でプレーしようと言っていたので」。颯太さんの遺骨が入ったリングを首から提げて試合に挑んだ。結果は4打数無安打。九回の最終打席では高橋に153キロを投げ込まれ、見逃し三振に。「手が出なかった」と苦笑したが、その表情は晴れやかだった。
「これからも頑張っていこうと思います」。野球が好きだった颯くんの分まで-。空に向かってそう誓った。