金足農、東北初V王手 吉田輝星5戦連続完投!最後に王者・大阪桐蔭ねじ伏せる

 「第100回全国高校野球選手権・準決勝、金足農2-1日大三」(20日、甲子園球場)

 悲願の頂点まであと1勝だ。準決勝2試合が行われ、金足農(秋田)が初の決勝進出。プロ注目のエース・吉田輝星投手(3年)は9回1失点完投で、秋田県勢としては第1回大会の秋田中以来103年ぶりに頂上決戦へ導いた。今大会ナンバーワン右腕が、東北にいまだ渡っていない深紅の大優勝旗を秋田へと持ち帰る。

 大ピンチでも、吉田の笑顔は輝いていた。1点リードで迎えた最終回。1死後、一塁・高橋佑輔内野手(3年)の判断ミスから生まれた内野安打を含む連打で一、二塁とされ逆転の走者が出た。「みんなのミスは、自分がカバーする」。バックにほほえみかけ、緊張をほどいた。

 長打が出ればサヨナラ、の展開に沸く日大三アルプスの盛り上がりを感じながら、いつも以上に冷静だった。「ゼロに抑えてみんなを救おう」と9番・柳沢を左飛に仕留め、1番・金子へのラストボールは142キロの直球。力ない打球が中堅手のグラブに収まるのを確認すると、控えめに拳を突き上げながら勝利をかみしめた。

 エースとしての自覚は強い。帽子のつばには「覚悟」の2文字。昨夏の大会中に当時の3年生から「覚悟が必要だよ」とかけられた言葉を今も大事にしている。ミスが出るとイライラする姿は、最上級生になってから見せていない。「(味方が)エラーしたら、その場所に打たせた自分が悪い」と次のプレーに切り替えられるようになった。

 投手としての完成度の高さを試合ごとに見せつける。相手の速球狙いを逆手に取り、カットボールやツーシームを多投。この日は7奪三振と5試合連続2桁奪三振こそ逃したが、微妙な変化でバットの芯を外した。五回にはバント処理で逆をつかれながら、「この強さだったら」と打球の勢いを見極め二塁へ送球。二進を防ぎ、ピンチの芽を摘んだ。

 試合前には大投手の投球に刺激を受けた。第1試合のレジェンド始球式を務めたのは元巨人・桑田真澄氏(50)。34年前、PL学園のエースとして先輩たちの決勝進出を阻んだ右腕をベンチから見つめ、「しびれました」と闘志に変えた。

 5試合連続完投で、残るは絶対的王者との決戦だ。「大阪桐蔭とやるために、という思いはありました」と大会前から強烈に意識して勝ち上がってきた。強敵をなぎ倒した先に見えるのは、東北勢初の全国制覇。「自分の力を出し切って最後は笑って終わりたい」。100回大会の主役が、最高のフィナーレをつかみ取る。

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