倉敷商“星野2世”引地サヨナラ打 投げては9回13K「被災地を元気にしたい」

 「高校野球岡山大会・2回戦、倉敷商2-1岡山南」(17日、マスカットスタジアム)

 “星野2世”が投打で躍動した。プロ8球団16人のスカウトが視察に訪れた倉敷商の初戦。最速151キロのエース・引地秀一郎投手(3年)は3安打1失点、13奪三振で九回を投げ終えると、1-1で迎えたその裏、1死二塁から中越えにサヨナラ二塁打を放って仲間と抱き合った。

 「自分が決めるしかないと思いました」

 五回までパーフェクト投球。1-0の六回に先頭打者への四球からピンチを招き、相手1番打者に許した初安打が同点打となった。追いつかれたあとは一段ギアを上げ、「三振を取りにいった」。九回は威力抜群の直球とフォークで3者連続三振に仕留め、直後のサヨナラ劇につなげた。

 「甲子園に出て、被災地を元気にしたい」。西日本豪雨で甚大な被害を受けた地元・倉敷市。チームには、地区の約3割が水没した同市真備町出身の部員が4人いる。そのうちの一人で、避難生活を送る控えの平田隼夏選手(3年)が、八回のピンチで伝令役としてマウンドへ。「ギャグで笑わせてくれました」と引地。そんな仲間のためにも負けるわけにはいかなかった。

 今年1月には同校OBの星野仙一氏が亡くなった。「倉敷商の名前を全国に広めてくれた人。恩返ししたい」。この日の最速は148キロ。魂を受け継ぐ右腕の剛速球は、聖地に向かってまだまだ加速する。

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