仙さんごめんなさい…楽天弔い星ならず 岸熱投8回0封も打線振るわず完封負け
「楽天0-2日本ハム」(3日、楽天生命パーク)
天から見守っていたであろう闘将に、指揮官は頭を下げた。1月4日にすい臓がんのため逝去した楽天の星野仙一球団副会長(享年70)をしのび、監督時代の背番号「77」をチーム全員がつけて臨んだ追悼の一戦。8回3安打無失点と好投した岸を援護できず、白星を届けられなかった。
「特別に意識はしませんでした」と、あえてクールに振る舞った右腕は、そのクールな言葉とは裏腹に胸の内は熱かった。永久欠番「77」を背負った岸は、全力で腕を振った。直球、カーブ、チェンジアップを寸分の狂いもなく操り、五回1死まで無安打。八回限りで無失点のままマウンドを後にし、打線の援護なきまま、その奮闘は報われなかった。
一昨年オフ、西武からFA宣言した岸。楽天入りへ「迷ったら前へ進め」と必殺の口説き文句で右腕を落としたのは、星野副会長だ。梨田監督は「副会長が誠意を持って交渉にあたってくださり、岸が仙台に帰ってきてくれた。その岸が好投しながら、勝ちを付けてあげられなかったのはとても残念」と神妙に話した。
指揮官は、試合中にも「打たせてください」と天国の星野副会長に祈ったことも明かした。開幕して1勝3敗。岸は「きょうは勝ちたかった。でも最終的に勝てればいい」と、必ずVを届けるため、シーズンを戦い抜くことを誓った。