「全国高校野球・１回戦、常総学院１１－０近江」（９日、甲子園球場）

　聖地に帰ってきたエースが、春の雪辱へ向け、順調な一歩を記した。プロ注目の左腕、常総学院・鈴木昭汰投手（３年）は７回１／３、１０９球を投げ６安打無失点。「成長した姿を見せたかったので、うれしい」と安どの笑みを浮かべた。

　優勝候補だった今春のセンバツでは鹿児島実に初戦敗退。今夏を「借りを返すために来た」と言い切る。六回には２死一、三塁のピンチで近江の４番・北村を「狙って」三振。「悪い時なら失点をしていた」。意地を込めて左腕を振った。

　負けた悔しさは片時も忘れていない。センバツ敗退以降、一昨年のセンバツの準々決勝で敗れた大阪桐蔭戦や鹿児島実戦などの映像を「３００回ぐらいは見ました」。徹底的に脳裏に焼き付け、雪辱への思いを膨らませてきた。

　自らの力投に、打線の爆発も加わり大勝発進。それでも「悔しさが晴れたとは思っていない」とし「一番良かった時に比べれば、今日は６０点」と厳しく自己採点した。目指すは頂点。借りを返す舞台は、始まったばかりだ。