巨人3軍、常勝球団構築へ水面下で成長

 巨人3軍が、著しい成長を遂げている。王者ソフトバンクに倣って今季から新設され、川相昌弘3軍監督(51)の指揮のもと、6月の対外試合はここまで6勝1分け。1軍は世代交代の過渡期で苦しんでいるが、常勝球団構築への土壌は着実にできつつある。その指導方法やチームに与えている影響など、3軍の実態に迫った。

 3月の対外試合初戦の日体大戦は、3安打完封負けという屈辱的な結果だった。強肩や俊足など一芸に秀でた育成選手が中心の3軍は当然、課題も多い。当初、野手は全体的にスイング力が弱く、練習でもまともに打球が飛ばない選手もいた。

 首脳陣はツイスト打法や八の字スイング、バットのヘッドにタオルを巻きつけての素振りなど、さまざまな練習方法で指導。遠征先でも昼夜を問わず技術向上に励むと、徐々にヘッドスピードが増し、結果も出始めた。

 育成ドラフト1位の増田(四国ILp・徳島)は「バットが内から出るようになったと言われる。(プロは)練習の質が高い」と、実感。3、4月は打率・118と低迷したが、5月は打率・412と大幅に上昇した。

 11年に3軍が発足したソフトバンクでは柳田、千賀、牧原など、3軍経験者が1軍で活躍している。巨人では3軍から支配下契約を結び、1軍の舞台を経験したのは投手の長谷川ひとり。だが、野手では増田、投手では大竹秀や田原啓も2軍に昇格し、チャンスをつかもうとしている。

 川相3軍監督は「1軍レベルにいくかは未知なところもあるが、この数カ月を見ているだけでもメキメキ成長してきている」と、目を細める。2、3軍の入れ替えも活性化。11年に盗塁王に輝いた藤村ですら3軍を経験するなどチーム力の底上げは進み、2軍はイースタン・リーグで首位を走っている。

 3軍の利点は何より豊富な実戦経験。大学生や社会人、独立リーグなどを相手に年間約90試合を戦う。移動は長距離バスを使用するなど負担を減らし、経費は年間2億円超。中南米の若い外国人を発掘し、自前で助っ人を育成する余裕も生まれることを考えれば決して高くはない。久保球団社長は「ここからは育成の競争になる」と、先を見据える。

 サインプレーやナイターの際のコンディショニングなど、1軍を意識した指導も徹底。川相3軍監督は「実戦で試さなければ分からないことはすごく多い。阪神でも一二三が(BCリーグの)福井に行っているけど、ひとつのチームを作って定期的に戦った方がより効果はあるとは思う」と、育成論を語る。

 世代交代期に突入し、1軍は苦しい戦いが続く。その一方で希望の光を未来につなげる努力を、フロントと現場が一体となって積み重ねている。

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