今年も負け越し…セがパに追いつくには

 セ・パ交流戦は全日程を終了し、パ・リーグが60勝47敗1分けで、今年も勝ち越した。パの勝ち越しは7年連続で、12年で11度目。最高勝率球団は2年連続でソフトバンク。交流戦の順位は上位6球団のうち5球団がパ。セでは広島が11勝6敗1分けで3位に入ったが、他の5球団は5割か借金を抱えて終わっている。力の差があることを認めざるを得ない結果だ。

 阪神で内野手として活躍し、通算2064安打を記録、監督も務めた藤田平氏(68)=デイリースポーツ評論家=は「パ・リーグの野球の方ががおもしろい」と明言する。そのおもしろさは、選手個々の力の差だけにあるのではない。チームとしての力にも差があるという。「18日の阪神-ソフトバンクは、ソフトバンクが三回に今宮のスクイズで1点を取り、そのまま1-0で逃げ切った。チームとして1点を取り、1点を防ぐ野球もできる。果たしてセにそういうチームがあるだろうか」と言う。

 特に藤田氏が感じたセ、パの違いは、打者の力。速い球への対応だ。

 「パ・リーグの選手の方が明らかにバットが振れている。さらに言えばバットを振る体勢ができている。セに比べて速球派投手が多く、それに対応するために磨かれたものだ。セの球団でパの速球派に対応できたのは広島ぐらいではないか。阪神をはじめとして多くの球団が、速い球に苦しめられた」

 パの先発投手には、日本ハム・大谷を筆頭に、楽天・則本、西武・菊池、ソフトバンク・千賀など、速球派が多くいる。一方のセは、阪神・藤浪ら数えるほど。藤田氏は「セ・リーグ防御率トップは巨人の菅野だが、その菅野ですらパのエース級と比べれば、速いという感じはしない。パの投手は球速がある上に、緩急もうまく使う。対応するためには、打者も力を付けるしかない。切磋琢磨することで、打者も投手も実力を付けてきた」と指摘した。

 パのDH制も、その差を生む要因となっているという。DH制があることで、投手は1番から9番まで気が抜けず、攻撃との兼ね合いで交代させられることもない。打者は出場できる枠が1つ多くなり、その分経験を積むことができる。

 交流戦では、パのホームゲームでDH制が採用され、セ、パの条件は五分。しかしその制度の違いが培った選手の力の差は大きい。藤田氏は「スカウティングの面でも、パの方が抜け目なく選手を見て獲得しているという印象だ。さらにDH制がある、ないで、選手の成長に差が出る。年月を経て、それがセ、パの力の差になった」と分析する。

 この差を埋める方法はあるのか。藤田氏はこう提言する。

 「セもDH制を導入するべきだろう。国際大会でもDHが採用される今、9人の野球にこだわる意味がない。DH制があれば、ピッチャーも野手も育つ。セには、ずっと9人野球でやってきたという伝統がある。しかしパにこれだけ負け続けているのだから、プライドも何もない。セ6球団で考え直す時期に来ているのではないか」

 セ・パ交流戦が導入されて12年。パの天下が続けば、セは人気の面でも影響が出てくるだろう。小手先の対処では、もはや差を埋めることはできないのかもしれない。(デイリースポーツ・足立

行康)

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