楽天ドラ1オコエの圧倒的存在感

 輝いていた。楽天にドラフト1位で入団したオコエ瑠偉外野手(18)=関東第一=のことだ。12月1日。仙台市内で行われた新入団発表で、ひな壇の中央に座ったオコエは、まるでそこだけスポットライトが当たっているかのように、圧倒的な存在感を放っていた。

 初めて取材するオコエを目の当たりにし、記者は何だか懐かしい感覚に襲われた。そう、9年前に取材した早実・斎藤佑樹投手(現日本ハム)を思い出した。ブレーク前から潜在的なスター性が垣間見えてはいたが、高校3年夏、“普通の好投手”から、「ハンカチ王子」として一気にスターの階段を駆け上がると、もはや唯一無二の存在となった。いつの間にか得も言われぬオーラを身につけた佑ちゃんを、記者もまぶしく感じたものだ。

 オコエにも、それに似た「華」を感じずにはいられなかった。その場の空気を自然と支配し、独占していた。そしてその空気が自らのものであることを、本人も違和感なく受け入れ、理解しているようだった。何をしても、何を言っても、有無を言わせず、主役はオコエ。「楽天~イーグル~ス」と生歌をワンフレーズ披露しただけでも、呼ばれたいニックネームを聞かれ「笑顔で活躍したいので『ニコエ』と呼んでください」と言っただけでも、文句なしのオコエ劇場だった。

 佑ちゃんとオコエ。2人は投手と野手という点はもちろん、プレースタイルやキャラクターも異なるが、周囲を圧倒する突き抜けた存在感は、共通している。

 今春の時点では、ドラフト戦線における俊足巧打の外野手のひとりにすぎなかったが、今夏の甲子園で、スターとしての地位は確固たるものとなった。高校生離れしたスピード、そしてスーパープレーの数々で大観衆を魅了した。その名を高めるとともに、選ばれし者のみに備わるスターとしての「華」が開花していったのだろう。甲子園とは、そういう場所なのだ。あらためて、そう感じた。

 もちろん、プロとしてスタートラインに立ったばかり。野球人生の本番はこれからだ。だが、プロ野球選手に必要な「華」を携えていることは、既に証明済みだ。甲子園が生んだスターが、球界の真のスターとなるべく、どんなふうに脱皮していくのか。楽しみでならない。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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