前中日・山崎氏がカーレーサー転身

 昨季限りで中日ドラゴンズのユニホームを脱いだ山崎武司氏が4輪レースにチャレンジする。市販車によるレースシリーズ「ガズーレーシング 86/BRZレース」に参戦することが18日までに決まったもので、ライセンス取得などを経て夏場にデビューする予定だ。プロ野球界からのレーサー転身は異例中の異例。次はモータースポーツ界のホームラン王を目指す。

 「ひとまずプロ野球を現役引退したので、今度は別の世界も見たかった。その中で興味があったのは自動車レースの世界。車が好きだし、レースに出るのは自分の夢。いっちょやってみるかという気持ちになった」

 参戦するのはトヨタ86と、同タイプのスバルBRZを使ったシリーズ。公道も走れるナンバー付きレース車両を駆る入門用のカテゴリーだ。今回のプロジェクトは、トヨタ系ディーラー「トヨタカローラ山口」(山口県周南市)がバックアップする。同社を経営母体にしてスーパーフォーミュラやスーパーGTに参戦する「インギングモータースポーツ」が支援するブレーキパーツ総合メーカー「プロジェクトミュー」(埼玉県入間市)の社内チームに所属。マシンのメンテナンスなど運営面のサポートを受ける。

 自動車レースは普通運転免許だけでは出場できない。まずは、レースを始めるのに必要な国内Aライセンスを取得しなければならない。山崎さん自身はレジャーでゴーカートに乗ったことはあるが、本格的にレーシングカーを操った経験はゼロだ。そこで3月にも国内サーキットで練習を開始。4月にライセンスを取得し、夏場のレースでのデビューを目指す。

 野球の評論活動を最優先にするため、今季は富士スピードウェイや鈴鹿サーキットを中心に3、4戦にスポット参戦する見通しだ。

 才能がすぐに花開く可能性はある。ランボルギーニ、フェラーリなど数々のスーパーカーを愛車にしていた大の自動車好きで、プライベートではF1日本グランプリやオートバイの鈴鹿8時間耐久レースなどにも足を運んだことがある。趣味として、細かい車両調整を求められるラジコンカーにも通じており、タイヤが備わっている分野はお手の物だ。

 「できれば勝ちたいという思いはあるけど、生半可なことでは勝てないことも分かっている。プロ野球で培った経験を生かして結果につなげたい」。もちろん、レース活動は本気。トヨタ86を駆る予定で、運営資金については、スポンサーを集めるなどして自身で調達する。山崎さんにとっては新たなアスリート人生が幕を開ける。

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