阪神・畠世周投手（３０）が球団ＯＢでデイリースポーツ評論家の中田良弘氏（６５）と対談した。昨年１２月の現役ドラフトで巨人から移籍した右腕は当時の心境を告白。春季キャンプ・紅白戦での佐藤輝との近大対決も振り返った。オフにはアナリストに依頼してデータ分析していたことを明かし、甲子園での古巣封じにも意欲を見せた。

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　中田良弘氏（以下、中田）「（プロ入り前に）入りたい球団ってあった？」

　畠世周（以下、畠）「特になかったんですけど、地元だけはちょっと怖かったですね。広島に帰るというのは」

　中田「プロの世界はどうだった？」

　畠「初めて衝撃を受けたのは、１軍の初登板した時に（当時広島の）丸さんにホームランを打たれたんですよ。その時、外角低めで自分にとっては投げ切ったボールがいって、外野フライだろうと思ってパッと見たらそのままスタンド入ったんですよ。『うわ、これがプロ野球だ』って衝撃を受けたのが一番ですね」

　中田「現役ドラフトでは阪神に指名された時はどうだった？」

　畠「正直、阪神だとは思っていませんでした」

　中田「自分の中では（どこかイメージは）あったの？」

　畠「現役ドラフトに出るかもしれないっていうのは思ってたんですけど、正直阪神ってめちゃくちゃピッチャーがいいじゃないですか。だからないなって思っていました」

　中田「巨人から見ても阪神の投手力はそろっているように見えた？」

　畠「いいなーと思って見ていたので。阪神って言われて、『え？阪神？』みたいな」

　中田「阪神だけに半信半疑？」

　畠「半信半疑です、ほんまに（笑）」

　中田「大学は近大だよね？関西にはなじみがある。また帰れるなみたいなのはなかった？」

　畠「帰れるな…。そこは学生とプロでは全然違いますし、いたと言っても自分は（近大の野球部寮があった奈良県の）生駒だったんで、兵庫とか距離も違いますし」

　中田「ブルペンを見ていても順調そうだね」

　畠「今年のオフシーズンにアナリストをお願いして。いろいろ過去のデータと比べてみたら、横の動きがうまくできなくなっていたんですよね。並進運動が長く取れないというか、長く取ろうと思うと遅く動いちゃう。大学の頃を見ていただくとステップ幅が７歩近く出ていた。今は硬いマウンドで短くはなってるんですけど、それでも６歩くらいしか出ないんですよ。１歩分くらい勝手に短くなってるっていうのは、自分の中では良くないなって」

　中田「１足は大きいもんね」

　畠「硬いマウンドだから、そうしてるならオッケーだと思うんですけど、そうじゃなくて自分の出力の部分が下がっちゃってるのは良くないなって思って。今は球がバラバラになっちゃうんですけど、それ（出力）をしっかり出せるってことをやらないと球の強さとかいい球は戻ってこないんだろうなと」

　中田「（春季キャンプの紅白戦では）全部真っすぐでいったね」

　畠「（近大の後輩）佐藤輝明の時に『今の真っすぐはどれくらい通用するのかな』と思って、真っすぐ勝負でいったんですけど、最後捉えられちゃいましたね（２ランを被弾）。でも逆に真っすぐだけであそこまでいけたっていうのは、自分にとってプラスに考えていて」

　中田「シーズンでは中継ぎで投げるとは言われたの？」

　畠「直接はまだ言われてないんですけど、記事で中継ぎって言われているので、中継ぎだろうなっていう感じですね」

　中田「甲子園で巨人戦のマウンドに上がる想像とかするの？」

　畠「想像しますね」

　中田「どうなるんだろう雰囲気は。よっしゃ、やったろうという感じかな？」

　畠「やったろうと思うのと、相手のいい部分もすごい見てきているので、いいイメージと悪いイメージが交互にしてきて」

　中田「畠くんは畠くんで、『よっしゃ、出されたんだから見返したろう』ってなるよね？」

　畠「なります」

　中田「これくらい言ってくれんとね。楽しみにしてるんでね。頑張ってください」

　◆畠　世周（はたけ・せいしゅう）１９９４年５月３１日生まれ、３０歳。広島県出身。１８６センチ、８２キロ。右投げ左打ち。投手。近大福山、近大を経て１６年度ドラフト２位で巨人入団。プロ初登板初先発は１７年７月６日・広島戦で勝敗なし。新人だった１７年に６勝をマーク。２１年には先発とリリーフで５２試合登板。