支配下復帰の阪神・佐藤蓮を進化させたやり投げ元日本代表・村上幸史氏との出会い 制球力改善で防御率6・04→1・91

 劇的進化をした佐藤蓮
 現役時代の村上幸史氏
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 7月に支配下選手復帰を果たした阪神の佐藤蓮投手(26)が今季、すさまじい進化を遂げている。2軍戦で昨季の防御率6・04から今季は防御率1・91と大幅に改善(15日時点)。レベルアップの裏には、陸上やり投げの元日本代表で2009年世界選手権銅メダリストの村上幸史氏(44)との出会いがあった。パリ五輪女子やり投げで金メダルに輝いた北口榛花(26)を指導した経験もある師匠。制球に苦しんだ右腕が飛躍を遂げた要因に迫った。

  ◇  ◇

 糸を引くような快速球が捕手のミットに収まる。150キロ超の直球を軸にカーブ、フォークなどを交えて抑えるスタイル。「目に見えて変わったのはコントロール」と佐藤蓮の表情には充実感がにじんでいた。

 2020年度ドラフト3位で入団し、佐藤輝や伊藤将と同期。ただ、制球難や故障などで昨オフに育成契約となった。プロ4年目の今季。これまでとは全く違う姿を見せ、7月には支配下選手復帰を果たした。

 過去、苦しんできた制球面。「被打率はそんなに高くはなかったと思うんですけど。四球、四球で走者をためて、ピンチを背負って打たれるという悪循環だった」と振り返る。実際、昨季は19試合に登板して被打率・115だったが、31四死球で防御率6・04だった。

 制球難を改善するために、昨秋のフェニックスリーグから投球フォームを変更。「けん制やフィールディングのスローイングは得意だったので、野手投げっぽい感じというか」と、テイクバックを小さくした投げ方に変更。しかし、最初は手応えをつかむことができなかった。

 オフから試行錯誤していた投球フォーム。「春季キャンプの時にザキさん(岩崎)から『今年結果を出さなかったら終わりだから。今から大きく変えることはできない。絶対に間に合わないから。やるなら続けろ』と言ってもらった」と先輩の助言で覚悟を決めたという。

 「村上さんとの出会いが一番大きい」

 日々、探していた成長へのきっかけ。昨年末に偶然、動画で見つけたのがやり投げ元日本代表の村上氏のトレーニング映像だった。すぐさま連絡を取り、数日後に直接指導を受けることが決まった。

 野球とやり投げ。競技は違うが、真っすぐに投げるという基本は同じ。「2メートルほどあるやりを使って、あれだけの距離を何で真っすぐ投げられるのかなと。行けば何かヒントがある」。わらにもすがる気持ちで村上氏を訪ねた。

 投げる動作で学んだのは、無駄な動きをなくすことと同じフォームで投げる再現性。さらに、力の方向性を下半身で出すことだ。「マウンドでは傾斜がある。傾斜と同じ方向で力を持っていってあげると球が浮くことをグッと抑えることができる」と説明する。

 結果を残し、つかんだ支配下復帰。村上氏に報告した際には「背番号の『98』はやり投げの世界記録と同じだよ。いい数字を選んだね」と祝福された。師匠に新たな報告をするために1軍のマウンドを目指し、“セ界”の打者をねじ伏せる。(デイリースポーツ・井上慎也)

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