阪神・岩崎 虎左腕初!セーブ王確定 プロ10年目で初タイトル「一人では取れないので、本当にチームのみんなのおかげ」

 「広島東洋カープ5-6阪神タイガース」(1日、マツダスタジアム)

 その瞬間、持ち前のポーカーフェースがほんの少し緩んだ。阪神・岩崎は最後の打者となる小園を空振り三振に斬ると、マウンドで軽く左拳を作った。「まあ、勝ったんで」。左手には窮地を切り抜けた安堵(あんど)と、手に入れた新たな勲章が握り締められていた。

 35セーブ目を挙げて、初の最多セーブを確定させた。球団では21年スアレス以来、日本人では11年藤川球児以来で、左腕では史上初となる。プロ10年目で自身初の個人タイトルとなり「意外と冷静というか、今はまだ分からない。でも良かったです。自分一人では取れないので、本当にチームのみんなのおかげかなと思います」と淡々と喜びを語った。

 「ブルペンデー」を締めくくる7番手として、3点リードの九回に登板した。先頭の秋山に三塁打を浴びてピンチを招くと、内野ゴロで1点を失った。さらに四球と右前打で1死一、三塁とされると、再び内野ゴロの間に失点したが、1点差でしのぎきった。

 湯浅を守護神に据えた今季だったが、右腕の不振で4月途中にその座を託された。初セーブは開幕から1カ月以上が経過した5月4日・中日戦(甲子園)。チームの勝敗を一身に背負いながらセーブ数を積み上げ、ホールド数も2桁「12」を数える。

 30歳を過ぎたが、今季は一度も離脱することなくシーズンを駆け抜けている。たゆまぬ日々の研さんが頑強な肉体を作り上げた。先発投手のみが参加する投手指名練習の日も必ずと言っていいほど球場を訪れるという。グラウンドには姿を現さないが、室内でバイクをこぐなど汗を流し、常にコンディションを維持してきた。

 終始控えめだった。帰り際に「まだ、実感はないです」と言葉を残したが、ようやく笑みがこぼれた。喜ぶに値する重みのある数字。その価値を十分に誇ってほしい。

 ◆岩崎が初タイトルや! 岩崎が今季35セーブ目をマークしてタイトル確定。セ・リーグのセーブランキング2位で残り1試合のヤクルト・田口は33セーブで、岩崎が抜かれることがなくなったため。なお、球団では21年スアレス以来、日本人投手では11年・藤川球児以来、12年ぶり。さらに同タイトルは虎左腕初。77年・山本和行は9セーブでリーグ最多タイだったが、同年は最多セーブのタイトル表彰がなかった。

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