【藤田平氏の眼】首を傾げることの多かった矢野阪神 結局、俺たちの野球とは?
阪神は今季もリーグ優勝を果たせず、2005年を最後に17年連続のV逸となった。「矢野燿大体制」で4シーズン。まだCSによる日本一への道は残されているが、ひとまずデイリースポーツ評論家の藤田平氏が、期待倒れに終わった「矢野野球」を検証した。
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このところの阪神の選手とベンチを見ていて感じるのは士気の低下だ。残念ながらリーグ優勝は逃したが、CSへの望みが絶たれたわけではないし、2位になれば地元開催もある。なのに戦う姿勢が微妙に伝わってこないね。
18日のヤクルト戦ではエラーで失点しながら、なんの抵抗もなく敗れたように映った。とにかく負け方が悪いですよ。気持ちが落ちているのも理由のひとつかもしれない。
阪神というチームの最大の特徴は12球団一とも言える投手力でしょう。この強力な戦力を生かし切れば、こんな位置でウロウロするようなチームではないはず。
また、盗塁数で上位を占める近本、中野、島田に代表される走力も阪神の大きな武器。ところが、試合終盤の勝負どころで、得意の機動力を駆使して1点をもぎ取ったという印象が薄い。
ベンチの仕掛けが遅れたばかりに、戦力を余して終わることもあった。選手起用に関して言えば采配の妙で勝ったという試合は、ほとんど見られなかったのではないか。
振り返ればキャンプ早々の「退任発表」にはじまり、選手による早すぎる胴上げなど、今年は首をかしげることが多かったね。
シーズンに入っても打順や守備位置が固まらず、ずっと漂流しているような1年だったように思う。
大山は内野と外野の両方を守っているし、外野はレフトもあればライトもある。打順も4番を打ったり外れたり。
同じ事が佐藤輝にも言えて、チームの主軸が、あっちこっちへ行ったり来たり。そのたびに、こちらも首を傾げっぱなしで、首痛ですわ(笑い)。
残り6試合。これは矢野監督にとっての総決算にもなるからね。
結局、4年間で何がしたかったのか。常々口にしていた「俺たちの野球」とはどういう野球なのか。
超積極的と言いながら、勝負手を打たずに後手に回る展開を見てきた私には、いまだに理解できないところがあるんですよ。
残りの試合数は少ないが、自らが思い描く野球、やりたい野球を存分に示し、せめてCS突破は果たしてもらいたいね。