「巨人１－５阪神」（２０日、東京ドーム）

　女房役として至福の瞬間だ。阪神・梅野隆太郎捕手（３１）は勝利球を差し出した。攻守で白星に貢献した証し。藤浪が、がっちりと受け取った。

　「健斗（糸原）と聖也（木浪）が一生懸命つないでくれて、後ろもピッチャーの晋太郎（藤浪）って分かってたし、自分でなんとかしたいと。晋太郎もそれで、少し気持ち的にも楽やったやろうし、そういう意味ではすごい良い攻撃ができた」

　まずはバットで右腕を援護だ。０－０の二回２死一、二塁の好機。カウント１－２と追い込まれたが「追い込まれれば追い込まれるほど、しっかりコンパクトに」と堀田が投じた１４６キロ外角直球を捉えた。打球は二塁・吉川のグラブ横をすり抜け、右前へ。先制適時打で幸先の良いスタートを切った。

　３試合ぶりの先発マスクだった。今季初勝利を狙う相棒との合言葉は「『一』を大事に」。イニングごとの初球をバッテリーで丁寧に選択し、７回１失点の好投を導いた。「梅野さんのリードにも助けられながらうまく投げられた」と感謝した藤浪。０封継投もリードし、特別な「一」勝をもたらした。

　苦しい８連敗を乗り越え、再び勢いに乗り始めたチーム。これからも扇の要として、力を尽くす。