【岡義朗氏の眼】1点勝負なのに、八回の阪神 攻守に「ちぐはぐ」な印象

 「阪神0-1楽天」(26日、甲子園球場)

 阪神は5安打に終わり、両リーグワースト今季12度目の零封負けを喫した。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は八回、阪神の攻守両面に「ちぐはぐ」と分析した。

  ◇  ◇

 1点勝負に敗れた一戦で、八回の攻守に「ちぐはぐ」な印象を受けた。投手起用、犠打、代走を巡るベンチの判断には、残念ながら一貫性がなかった。

 0-0で迎えた表の守りで、2番手にセットアッパーの湯浅を送るのはこれまでの起用からみて当然だ。2死二塁から浅村に四球を与えると、左の島内に対して左腕・渡辺にスイッチ。これまで湯浅にはずっと1イニングを任せてきただけに正直、「なぜ」という思いが巡った。ベンチからすれば、そこまでしてでも1点をやりたくなかった、ということだろう。

 その流れで迎えた裏の攻撃でも、ふに落ちない場面があった。

 1死から長坂が左前打で出塁すると、代打・北條が登場。初球はバントの構えから見逃してボール。すると2球目にバスターエンドランを仕掛けた。これがファウルになると3球目はバント。北條は器用なバッターだから見事成功したが、送りたいのか、仕掛けたいのか、ベンチの意図が見えづらい打席となった。

 さらに長坂が二塁に進んだ時点で、代走を送らなかった。矢野監督からすれば、攻守で奮闘していた長坂に「この試合を任せた」という思いがあったのだろう。結果的に、近本の左前打で本塁に突入させた長坂は憤死。楽天もバックホーム態勢を敷いていたし、長坂の足なら三塁で止めるのが妥当だろう。突っ込ませるならそもそも、代走を送っておくべきだった。

 終わってみれば矢野監督自身も、悔いが残る采配となったのではないか。

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