阪神・湯浅 最高のプレゼン投 母の前で2K3人斬り!導いた今季初バンテリン星

 「中日3-4阪神」(8日、バンテリンドーム)

 心を揺さぶられた16球、そして母へのメッセージ-。阪神は八回から登板した湯浅京己投手(22)が、相手中軸から2三振を奪うなど三者凡退に仕留め、虎をバンテリンドーム今季初勝利へ導いた。七回以降の逆転勝利は今季初で、母の日に圧巻の投球で感謝の思いを届けた背番号65。この若虎の心意気を無駄にしたらアカンで!!

 湯浅は1人、肩を慣らしながら覚悟を決めた。八回に1点を勝ち越し、歓喜に沸いたブルペンの中で-。敵地で負の連鎖を断ち切るために「絶対に0点で抑えるという、強い気持ちで上がりました」。“特別な日”に母が見守ったマウンドで、若きセットアッパーが躍動した。

 八回、リードはわずかに1点。前の打席で一発を放っていた石川昂を先頭に迎えた。それでも特別な意識は持たず「一人のバッターとして抑えよう」。ファウルで粘られるなど9球を要したが、最後はフルカウントから141キロのフォークでバットに空を斬らせた。

 続くビシエドも141キロフォークで連続三振に仕留めると、阿部は150キロ直球で中飛。4月12日の中日戦、同じ敵地で1点リードの八回から登板したが、阿部に同点打、石川昂に勝ち越し打を浴びた。プロ初黒星が刻まれただけに「やっぱりやられたらやり返すじゃないですけど、意識的にも前回の試合が頭の中にもあったので。3人で斬ると思いながらブルペンで(肩を)作っていました」と力を込める。

 母・衣子さんに支えられながら何度も逆境を乗り越えてきた。聖光学院時代は腰の成長痛により、チームは3年夏に甲子園へ出場したが、自身はベンチ外。プロ入り後も19年に2回、20年に1回、腰椎を疲労骨折した。

 「3度目の腰の疲労骨折の時には、電話越しで声を上げて泣いていました」と衣子さん。治療も拒むほど心は追い詰められていた。それでも母だけに本音をさらけだすことで、前を向けた。

 「とりあえず、けがなくシーズンを乗り切ってほしい」と願う衣子さん。母の日となったこの日の試合前、湯浅は「いつもありがとう」と感謝の思いを伝えた。故郷の三重県尾鷲市から球場に招待し「今まであまり野球をしている姿を見せてこれなかった。もっと恩返しできるように」。その思いが8試合連続無失点の原動力だ。

 試合後はカーネーションを片手に、最高の笑顔を輝かせた湯浅。鬼門のバンテリンドームでチームを今季初勝利へ導いた男が、最愛の母へ最高のプレゼントを贈った。

 ◆湯浅京己(ゆあさ・あつき)1999年7月17日生まれ、22歳。三重県出身。183センチ、81キロ。右投げ右打ち。投手。聖光学院高からBCL・富山を経て、18年度ドラフト6位で阪神入団。プロ3年目の21年6月3日・オリックス戦(甲子園)で初登板(救援)。

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス